2017-09

2015・8・18(火)ザルツブルク篇(4)「ダイドーとエネアス」

      フェルゼンライトシューレ  5時30分

 トーマス・ヘンゲルブロックが指揮したヘンリー・パーセルのオペラ「ダイドー(ディド)とエネアス」(英語版上演)。演奏会形式と銘打たれていたが、事実上のセミ・ステージ形式上演である。

 たった1回の上演だが、これはまことに素晴らしい。
 指揮だけでなく、演出及び「コンセプト」もトーマス・ヘンゲルブロックが受け持っている。演奏はバルタザール・ノイマン・アンサンブルと同合唱団、歌手陣はケート・リンジー(ダイドー)、ベネディクト・ネルソン(エネアス)、カティア・シュテューバー(ベリンダ)、ヨハンナ・ヴォーカレック(魔法使い)、ヘルマン・オズヴァルド〈水夫〉その他。フローレンス・フォン・ゲルカンが舞台装置(何もないが)と衣装を担当している。

 オケはピットに入り、舞台上ではソリストたちと同合唱団が簡素な衣装を着け、簡にして要を得た演技をしながら歌う。
 合唱団は定石通りコロスの役割を担うわけであり、第1幕ではカルタゴのダイドー女王の臣民として演じ歌い、雷鳴とともに闇に転じた第2幕ではその衣装の裾を頭からかぶって魔女たちの集団となり、第3幕では前半に魔女集団の役を演じ、後半にはピットの中に降りる。納得の行く流れの演出だ。彼らの歌も演技も実に美しく素晴らしい。

 今回は魔法使い役の女性歌手ヴォーカレックが、特別に付加されたセリフを素または音楽入りで語るが、このセリフはジョヴァンニ・フランチェスコ・ブセネッロの「ディドーネ」と、ヴェルギリウスの「アエーネイス」から自由に抜粋して編まれたものの由。またセリフに付随する音楽は、フランチェスコ・カヴァッリのオペラ「ディドーネ」からの引用であるとのこと。
 ヴォーカレックは、ナレーターとしては清澄で明瞭なドイツ語を響かせ、オペラ本編における魔法使い役としては不気味な声で凄みを利かせた原語歌唱に転じるのが、何とも見事だった。もちろん、他の歌手たちも良かった! 

 ダイドーの死を暗示するラストシーンでは、闇に閉ざされ、オケも合唱も暗黒の中で演奏し、舞台奥に燃えるいくつかの火だけが残り、やがてそれも消えて行く。
 余韻を感じさせる神秘的な終結だが、ザルツブルクに多いフライング拍手やブラヴォーがそれを断ち切る。だが、清楚な印象を残した、優れた上演であった。

 とにかく、パーセルの音楽の新鮮な美しさ! ヘンゲルブロックは、やはりマーラーなどを振るより、こうした古楽のレパートリーを指揮する時の方が、ずっといい。

 音楽だけなら1時間くらいの長さだが、セリフが入ったので、終演は6時45分になった。8時からの「フィガロの結婚」の前に食事をする時間はどうみてもないので、「ナガノ」に飛び込んで「何か一口」と頼む。3分で寿司セットをつくってくれた。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/2233-1ee1e1da
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

カテゴリー

全記事表示

全ての記事を表示する

RSSフィード

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」