2017-10

2015・8・7(金)「原爆小景」 東京混声合唱団「八月のまつり」

     第一生命ホール  7時

 東京混声合唱団(音楽監督・山田和樹)が、寺嶋陸也の指揮とピアノで、恒例の「八月のまつり」と題する特別定期演奏会を開催。今年は第36回になる。

 プログラムは、林光の名作「原爆小景」(4曲版)、寺嶋の「予兆」(委嘱作品初演)と「花筐(はながたみ)」、最後に山田耕筰(没後50年)のいくつかの名曲を林光が編曲したもの。「林光メモリアル 戦後70年によせて」という副題もついている。

 「原爆小景」の第1曲「水ヲ下サイ」が作曲されたのは、原爆投下からまだ13年しか経っていなかった頃だった。私がそれを初めて聴いた頃は、演奏にもまだ生々しい怒りや哀しみがこめられていたが・・・・。少なくとも、われわれの受け取り方はそうだった。
 だが、今日の東混の、あまりに完璧で美しい合唱は、もはや、そういうどろどろしたものを拭い去っていた。ステージから聞こえるのは、まさに「卓越した日本の合唱曲」そのものなのである・・・・。

 第2曲と第3曲が書かれたのは第1曲のほぼ13年後。そして、第4曲の「永遠のみどり」にいたっては、第1曲から実に43年後である。これだけの作曲時期の開きがあれば、その作風が全く違って来るのは当然だろう。東混の練り上げられた和声の豊かさは、それらの音楽がもつ素晴らしさを、完璧に描き出してくれていた。

 寺嶋の作品でも同様である。プログラム冊子に掲載されていた寺嶋陸也のメッセージには、かなり政治的な表現も含まれていたが、実際の演奏は、どの曲も、鮮やかに昇華されていた。すべてが極度に美しい響きなのだ。━━だがこれは、天下の「東混」の定期演奏会である。合唱は美しく、巧くなければならないのだ・・・・。

 最後の山田耕筰の歌曲集にいたって、作品と演奏とのギャップは埋められ、一種の解放感のようなものを滲ませていた。
 今回のステージには、立川直也による美しい照明演出も加えられていた。

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