2017-08

2015・7・11(土)ピノック指揮紀尾井シンフォニエッタ東京「ロ短調ミサ」

      紀尾井ホール  2時

 新千歳空港朝9時発のANA/AIRDOで東京に引返す。このスケジュールは一寸きついが、そのあとで良い演奏を聴けば眠気も吹っ飛ぶ。トレヴァー・ピノックが紀尾井シンフォニエッタ東京を指揮したバッハの「ミサ曲ロ短調」は、私がこれまで聴いたこのオーケストラの演奏の中でも、最も感動的なものだった。

 これは紀尾井ホールと、そのレジデント・オーケストラである紀尾井シンフォニエッタ東京の創立20周年記念特別演奏会。2回公演の今日は2日目。協演は紀尾井バッハコア(実体はバッハ・コレギウム・ジャパンの合唱の由)。コンサートマスターは、客演のフェスコ・エシュケナージ(コンセルトヘボウ管コンマス)が務めていた。

 第1部(ミサ)のあとに、20分ほどの休憩がおかれた。これは特に珍しいことではないが、この大曲の成立過程を考えると、このように第2部(「クレド」)以降を切り離すことは、たしかに筋は通るし、むしろその方が好ましいこととも言えるだろう。
 ピノックの指揮も、見事にそれにふさわしい構築になっていた。

 「キリエ」の出だしを聴いた時には、演奏全体に少し散漫な感がないでもなかったが、第1部の「グローリア」の最後は、実に光彩陸離たる趣を持つ演奏で閉じられた。輝かしく壮大なヴィヴァーチェが終ると、オペラに喩えればそこで第1幕が終って、休憩が入って当然という気持になるほどの、素晴らしい盛り上げなのだった。
 こういう持って行き方、ピノックは本当に巧いものだなと感心する。殊更の誇張も演出もなく、ただ率直に自然に、真摯に歌い上げて行くという指揮なのだが、それが実に心に染み入って来るのである。

 後半での、「サンクトゥス」や「ホザンナ」も輝かしく、沈潜した合唱から次の明るい讃歌へ移る呼吸も巧い。

 紀尾井シンフォニエッタ東京は、国内オーケストラやフリーの腕利きの名手たちにより編成されているのは周知の通りだが、今日の曲のようにソロが目立ち、かつ指揮者が完璧にオケを掌握している場合には、その長所が最大限に生きる。トランペット群(岡崎耕二、古田俊博、杉本峯夫)、チェロ(河野文昭、林俊昭他)、コントラバス(河原泰則他)、ホルン(丸山勉)他、弦・管など、みんな鮮やかなものだった。
 声楽ソリストを含むコーラスも、時に美しいハーモニー。
    別稿 音楽の友9月号演奏会評

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