2017-08

2015・7・3(金)ダニエル・ハーディング指揮新日本フィル

     サントリーホール  7時15分

 そのハーディングが指揮する新日本フィルのサントリーホール・シリーズ、ブラームスの作品を集めて、「悲劇的序曲」、「ハイドンの主題による変奏曲」、休憩後に「ピアノ協奏曲第2番」(ソロはラルス・フォークト)というプログラム。

 彼の任期も残り半年。オーケストラともども再び気合が入って来たのか、かなり熱気のあるブラームスが繰り広げられ、面白かった。
 「悲劇的序曲」の前半(アレグロ)での激しい攻撃的な響きと、テンポ・プリモに入ってからの個所(第264小節以降)での極度にテンポを落して沈潜させた表現との対比は印象的であった。このあたりは、久しぶりのハーディング・スタイルかなと思わせる。

 「ハイドン・ヴァリエーション」では、冒頭のハイドンの主題を、単に旋律だけでなくハーモニーをも分厚く響かせ、要所で入るトランペットをも明確に響かせて、いかにもコラール的な性格を浮き彫りにしていたのも面白い。
 この曲、私はずっと昔に、ローゼンストックがN響を指揮した演奏を当時の大手町のサンケイホールで初めて聴いて、その主題の素敵な響きをはじめ、曲の美しさにすっかり夢中になってしまった思い出があるのだが、最近ではむしろその時の呪縛から抜け出せるような演奏を求めたくなる気持の方が強くなっていた。その意味では、今日の演奏は、かなり刺激的なものだったことはたしかである。

 ラルス・フォークトを迎えての「第2協奏曲」も、なかなかエネルギッシュで推進力にあふれたものだった。
 この曲、しんねりむっつりやられたら閉口である。今夜の演奏では全曲ほぼ45分だったから、テンポも速い方だ。特に第2楽章など飛ばすこと、飛ばすこと、スコアの「アレグロ・アパッショナート」の指示をこれほど生かした演奏も少ないだろう。

 私の聴いていたRC最後部の席からはオーケストラがかなり強く聞こえ、全曲がまるでピアノのオブリガート付きのシンフォニーのようなイメージになっていたが、もちろんフォークトのピアノの瑞々しさは充分に伝わって来た。ハーディングの快速テンポと闊達な表情と併せ、実に爽やかなブラームスだったと思う。
 新日本フィル(コンサートマスターは豊嶋泰嗣)も、今夜は充実。第3楽章でのチェロのソロも美しい。

 来週のマーラー「復活」は、札響の新任首席指揮者マックス・ポンマーを聴きに行くのと、翌日帰京してピノック指揮紀尾井シンフォニエッタの「ロ短調ミサ」を聴く予定のためにパスしなくてはならないのが残念である。

コメント

悲劇的序曲が始まってすぐに、相変わらず細かいなあとクスッと笑ってしまったら涙腺までメリッと破れた。それほど久しぶりではないはずなのにどうやら渇いていたらしく、自分が欲していたのはこういう音だったのかと再認識。ハイドン変奏曲はこのコンビで聴きたいとずっと思ってきたのでとても嬉しかった。呼吸、テンポ、語り口、表情の切り返し、長いフレーズの下に見え隠れする作り込まれた瀟洒な響き、何もかもが波長に合った。協奏曲はフォークトさんの弱音のために誂えたような仕上がり。金色の小さな梨の実が光さす透明な水底へゆっくりと沈んでいく。そんな情景が目に浮かぶ、親密で美しい時間でした。

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