2019-05

6・3(火)パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団

  サントリーホール

 エレーヌ・グリモーの弾く「皇帝」と、ブルックナーの「7番」。

 グリモーの音色のブリリアントなこと。しかも細身ながらシンが強い。このように輝かしく清澄な音色の、それでいてちょっと神経質なところもある「皇帝」はなかなか聴けない。その音楽の表情には、フランス印象派の透明な抒情を思わせるところさえある。(レコードだけでしか聴いたことはないが)かつてカサドジュがこういう感じの「皇帝」を弾いていたっけ。爽やかで美しく、それでいて凛とした気品を一杯に湛えた「皇帝」には酔わされた。この人の演奏を、いつまでも聴いていたいと思ったほどだ。アンコールはベートーヴェンの「30番」の第1楽章。

 ブルックナーのテンポは、CDよりもさらに遅い感。だが緊迫感がいささかも失われないのは、特に第1楽章と第2楽章で、主題ごとのテンポの設定が実に巧妙にできていて、活気づくテンポの個所ではいよいよそれを煽るように強調していくといった呼吸が巧いからだろう(「皇帝」などでもそれは如実に感じられていた)。これだけ各主題が個性的に性格づけられ、しかもそれらが流れの良い、見通しの良い構築で設計され、その結果メリハリがよくなっている演奏はこれまで聴いたことがない。しかも主題のカンタービレが抜群によろしい。これだけ歌うブルックナーは、シャイー以来ではなかろうか。音色には非常に深々とした広がりを感じさせる。音楽の起伏は素晴らしく大きい。
 ホルン群を下手に、ワーグナー・チューバ群を上手に、といったように分けて配置したのも成功している。第2楽章の最後のあのコラール個所では、ステージすべてを包むように響いていたからである。CDよりずっと瑞々しく壮大な演奏だ。
 アンコールは、ステンハンマルのカンタータ「歌」の間奏曲。
   音楽の友8月号(7月18日発売)演奏会評

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