2017-08

2015・6・25(木)飯森範親指揮山形交響楽団 東京公演

     東京オペラシティ コンサートホール  7時

 定例のいわゆる「さくらんぼコンサート」。佐藤錦のさくらんぼが抽選で1箱当る、というアレである。もちろんロビーにはさくらんぼだけでなく、米から菓子から、山形の名産品がずらりと並べられ、即売されている。休憩時間や終演後にロビーがこれだけ客でごった返すオーケストラ演奏会は、他に例がなかろう。

 今日は音楽監督・飯森範親の指揮。ゲスト・ソリストに上原彩子を迎え、モーツァルトの「交響曲第1番」と「第41番《ジュピター》」、その2曲の間にベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第1番」を挟むというプログラムが演奏された。コンサートマスターは高橋和貴。
 ほとんど正規楽員のみ(客員は弦に2人)で演奏するプログラムを持って来たことは、このオケの素顔を知らせる上でも、賢明なことであった。

 飯森と山響のモーツァルトは、これまでにも山形テルサホールや新庄市民文化会館などで聴いたことはある。だが、この東京オペラシティコンサートホールは極めてよく響くホールなので、彼らの演奏も、豊かな残響を伴って瑞々しく響く。山響、良い音を出しているな、という感である。

 もっとも、良い演奏に聞こえるのは、もちろんホールの音響がいいという理由だけではなく、演奏自体がしっかりしているからである。東京での演奏会というと、やはり気合も充分らしく、見事な演奏を聴かせてくれた。初めて山響を聴いた人には、このオケにも昔はいかにもローカル・オケといった鄙びた雰囲気があったことなど、想像もつかないだろう。

 旧いホルンとトランペットを使用し、部分的にノン・ヴィブラート奏法をも取り入れたモーツァルトとベートーヴェン━━それは全体に端整で、生真面目なほどにがっちりと構築された演奏だった。
 「1番」は、非常に厳めしく物々しい。また「ジュピター」も、もう少し遊びのようなものがあってもいいのではないか、と思わせるような演奏ではあった。

 ベートーヴェンのコンチェルトも同様、上原彩子のソロとともに堂々たるつくりだったが、ただフィナーレだけは、ソロもオケも疾風のようなテンポで流麗かつダイナミックに飛ばし、これが結構スリリングな味も出していたのである。上原もこの楽章のみはちょっと面白い弾き方をしていたが、彼女のベートーヴェンがこういう風格を備えたものだったということを久しぶりに認識させてもらった。なお彼女のアンコールはラフマニノフの「前奏曲作品32-5」。

 プレトークでは、新任の西濱秀樹・専務理事兼事務局長が、飯森とともに舞台に現われ、掛け合いで喋った。また、古楽器のホルンとトランペットについて、奏者を舞台に呼んで、吹きながら解説をしてもらうという趣向もあった。
 西濱専務理事は、かつて関西フィルの理事・事務局長として活躍した「関西オケ界の大物」であり、藤岡幸夫との漫才みたいなプレトークも聞かせたこともある面白い人でもある。その如才ないステージぶりに、今夜はちょっと力が入り過ぎていたような雰囲気も感じられたが、━━今後の山響の運営と活動に、大いなる期待が集まる。

 終演後、帰る客に菓子の包みが配られていた。協賛は「おいしい山形推進機構」の由。ロビーでは、買い物客とサイン会に並ぶ客などが、いつまでもひしめき合っていた。

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