2017-06

2015・6・24(水)フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮読売日本交響楽団

    東京芸術劇場コンサートホール  7時

 近年ひときわ注目されるフランスの指揮者、フランソワ=グザヴィエ・ロトが読響に初客演。ベルリオーズの「ベンヴェヌート・チェッリーニ」序曲と「幻想交響曲」の間にサン=サーンスの「ヴァイオリン協奏曲第3番」(ソリストは神尾真由子)を置くというフランス・プログラムを指揮した。

 1971年生れ(44歳)にしては年長に見える風貌のロト(Roth)だが、実に「曲者」的な指揮者だ。
 すでにCDでその個性的な演奏をいくつも聴いてはいるが、ナマで聴くロトの指揮からは、ユニークな音色、感興に富んだテンポの変化など、独特の面白さが味わえる.。いろいろなレパートリーを聴いてみたくなる指揮者である。オーケストラを掌握する手腕も確かなようだ。読響(コンサートマスター 小森谷巧)の熱演と相まって、近来稀なほどの面白い演奏が繰り広げられた。

 「序曲」では、冒頭の豪快な最強奏で、まさにフランスのオーケストラに似たブリリアントな音━━明るい開放的な音色の弦、自己主張の強い躍動感を示す管楽器群、よい意味で自由なアンサンブル━━が響き出した。さすが・・・・と胸躍らせたが、そのあとは最強奏でもその響きに濁りが出て来てしまい、やはりそういう音色は日本のオケと水と油なのかな、と、一時は少々落胆。いくらフランス人指揮者カンブルランをシェフに戴く読響とはいっても、所詮フランスのオケとは国民性が異なるか・・・・と。

 サン=サーンスの協奏曲では、神尾真由子が両端楽章を驚くほど荒々しく弾き、それと対照的に第2楽章を嫋々たる表情で弾くという、これも個性的な演奏構築を示す。私の好みからいうと、この前後2楽章の演奏スタイルはあまり共感できるものではない。とはいえ、今なおグリュミオーのようなスタイルの演奏を求めるわけではないけれども・・・・。

 しかし、「幻想交響曲」にいたると、これはもう、たしかにロトの本領が出た演奏といっていいのだろう。読響も、漸く彼の音に同化していったように思われる。
 第3楽章第151小節以降のヴィオラの音色などをはじめ、フランスのオケのような音色が明確に出て来ていたのが面白い。変な言い方で申し訳ないが、たとえば第1楽章最後のフェルマータのついた終結和音の個所の音色━━あれこそ、今夜の演奏を象徴する美しさといってもいいのではないか? 

 ロトは、すべての総休止を長く採り、テンポを細かく伸縮させ、流動的な音楽をつくる。また、しばしばホルンを強奏させて衝撃的な和音を響かせる。第3楽章第139~141小節の管の和音など最たるものだろう。
 第3楽章の牧笛の旋律を、はっきりしたリズムで珍しい吹き方をさせるのは驚いたが、これはあまりに明快すぎるメリハリで、幻想的な詩情を失わせた感がないでもない━━たしかに、各音符についている「>」をアクセントとして強調すれば、今回のような演奏になることは理解できるけれども。

 第4楽章でのデュナーミクの変化の細かさは印象的だ。行進曲の個所で、輝かしく開放的に鳴り響く金管群を厚みのある弦で包み、全体を徒に騒々しい響きに仕上げなかったところは、巧みな設計というものだろう。

 とにかくこれは、最近ナマで聴いた幻想交響曲の中では最も興味深い演奏だった。70年代以降生れの指揮者の活躍が目覚ましい昨今だが、そのひとり、ロトもたしかに一癖も二癖もある指揮者である。7月1日のブーレーズ、ベルク、ハイドンというプログラムは、どんな演奏になるだろう?

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