2020-05

2015・6・4(木)「アドルフに告ぐ」

   KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉 2時

 手塚治虫の名作が、栗山民也の演出と木内宏昌の脚本で、14日まで上演されている。2日目公演のマチネーを観に行く。
 演劇はもともと好きだから、昔は劇団「雲」の公演などに結構通い詰めたものだけれど、近年はトンとご無沙汰。多部未華子主演の「サロメ」など、二つか三つを観たのみである。したがってこの方面には、全く明るくない。だがとにかく、面白かった。

 周知の通りこれは、3人のアドルフ━━ドイツ国籍の在日ユダヤ人少年アドルフ・カミル、その親友でナチ党員の父と日本人の母を持つドイツ人少年アドルフ・カウフマン、そしてアドルフ・ヒトラー総統━━を中心に、ヒトラーの出自に関する秘密書類をめぐって神戸とベルリンを舞台に展開する物語である。
 ドイツに戻って熱烈なナチ党員となり、ユダヤ人粛清の先鋒となったカウフマンが、再び1945年の日本でユダヤ人カミルと対決、28年後のパレスチナ紛争でそれが終止符を打たれるまでの舞台は、まさに死屍累々の凄まじさだ。

 第1幕70分、第2幕95分の長丁場だったが、全く長さを感じなかったのは、第一に栗山民也のテンポの良い、歯切れのよい演出のためだろう。
 成河(アドルフ・カウフマン)、松下洗平(アドルフ・カミル)、高橋洋(アドルフ・ヒトラー)ら、みんな好演だったと思うが、とりわけドラマの核になる峠草平を演じた鶴見辰吾が舞台を引き締め、存在感を示していたことも大きい。

 最初と最後に挿入された登場人物たちの合唱がドラマをセンチメンタルなものに陥らせる傾向があったことと、本多大佐役の谷田歩以外の軍人たちが膝をまっすぐに伸ばさない、たるんだ歩き方だったことの2点を除けば、━━いい上演だったと思う。
 時たま流れるワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と、ベートーヴェンの「第9」の第3楽章が、ふだんより強く、心に染み入った。

 5時10分終演。

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