2017-07

2015・6・3(水)飯守泰次郎指揮東京都交響楽団

    東京文化会館大ホール  7時

 東京文化会館の「響きの森」シリーズの第36回。「ドイツ・ロマンの森」と題され、ワーグナーの「タンホイザー」序曲と、「トリスタンとイゾルデ」からの「前奏曲と愛の死」、ブラームスの「交響曲第4番」が演奏された。

 飯守泰次郎の都響客演は、実に久しぶりという。もともと、綿密精巧なアンサンブルを要求する人ではないが、どんな音楽を求めているかを明確に示す人だから、オケもそういう演奏になる。
 今回はリハーサルを大ホールで━━つまり本番と同一会場で2日間も行なうことができたそうで、このホールのアコースティックを完璧に掌握した中で彼の求める音楽の響きを最大限につくることが可能になったのだろう。弦は14型だったが、音は分厚く、ハーモニーの豊かさが充分に出た(コンサートマスターは山本友重)。

 最高だったのは「トリスタン」である。独特の和声がうねりながら進んで行くような音楽は飯守の得意とするところで、前奏曲と「愛の死」におけるそれぞれのクライマックス個所での高潮感、それらが潮を引くように崩壊して行く瞬間の法悦感は見事だった。特に「愛の死」での頂点、歌詞で言えば「Welt-Atems」の2小節目と「All-」に相当する個所でのチェロとヴィオラの下行音がはっきりと聞こえたことは、音楽の官能性を一層高める上でも効果的だったと思われる。

 日本のオケが内外のいろいろな指揮者のもとで演奏した「前奏曲と愛の死」の中でも、これは最も情感にあふれた演奏と言えたであろう。私には、飯守の「トリスタン」を聴くと、昔フルトヴェングラーの指揮したレコードでこの作品に陶酔した頃の感覚が戻って来るのである。

 ブラームスの「第4交響曲」も、同じような意味で、第2楽章が出色の出来だった。
     別稿 モーストリー・クラシック8月号 公演Review

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