2017-08

2015・5・24(日)ヘンデル「ジューリオ・チェーザレ」

   新国立劇場中劇場  2時

 東京二期会の「二期会ニューウェーブ・オペラ劇場」、ヘンデルの「ジューリオ・チェーザレ」(エジプトのジュリアス・シーザー)の本番2日目。
 こちらの組の配役は、チェーザレを成田伊美、クレオパトラを高橋維、セストを田川聡美、コルネリアを土屋優子、トロメーオを小林紗季子、アキッラを加耒徹、クーリオを白岩洵、ニレーノを濱野奈津美。演奏は鈴木秀美指揮ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ、二期会合唱団。演出は菅尾友。装置を二村周作、照明を原田保、衣装を十川ヒロコ。

 二期会ニューウェーブの「ジューリオ・チェーザレ」は、10年ぶりの新制作である。前作(北とぴあで上演)は鈴木雅明指揮、平尾力哉演出による、比較的ストレートな舞台だったことを記憶しているが、今回の菅尾演出では、コミック(漫画)スタイルの舞台というか、バービー人形のような衣装も登場して、華やかで賑やかな、少々けたたましい舞台が創られていた。これはこれで一つの方法だろう。

 舞台装置を頻繁に回転させて場面を目まぐるしく変化させ、登場人物を休みなく移動させる手法もよく行われるテだが、この━━オペラ・ファンにはともかく、一般にはなじみの薄いバロック・オペラを愉しく見せるには絶好のものだろう。殺人場面をすべて主人公たちの「空想」の中に織り込んで描いているのも悪くない。
 冒頭、ベルばらの騎士か何かのような人形の格好をしたシーザーが抱えられて登場した時には、単なるお笑い的なアイディアかと思ったが、活躍した主要登場人物全員がラストシーンで「人形」に戻って片付けられて行く場面を観た時には、なるほどこのドラマをこういう風に解釈したのかと納得させられた。

 概して未整理で、若干ガタピシしていて、演技もどことなく素人芝居くさい舞台だったのは難点だが━━「壁ドン」も2回ほど出て来たけれども、あまり効果的な演技ではなかったようだ━━こういう所謂「若い」舞台のオペラ上演を創る試みそれ自体は、決して悪くはない。そもそも日本のオペラ界には、格式だとか様式だとかを重んじる風潮が強すぎて、こういう自由な試みによる上演が、少なすぎるのである。

 このプロダクションだって、どうせお固い批評家先生方やガチガチの愛好家からは文句を言われるだろうが、構うことはない。それより、ふだんオペラを観たことがない若者層にどうアピールできたかどうかの方が先決だ。高品質の浅草オペラのようなジャンルがあれば、日本のオペラももっと層が拡がるのではなかろうか。

 ただし、水準はあくまで高いものでなくてはいけない。みんな一所懸命やっていたことは判るけれども、前述のような演技の生硬さは、やはり困る。それに何より、歌唱のレベルがもっと上がることが求められよう。主役の女声歌手はおしなべて、ソット・ヴォーチェになると、声がよく聞き取れないのである。どちらかといえば脇役の男声歌手陣の方が勢いも良かったようだ。

 オーケストラにも、もっと量感のある音が欲しいところだったが、これは比較的前方の席で聴いていたせいか? 先日のGPの時には1階最後部の高所の席に座っていたためか、もう少しよく聞こえていたように思う。だがいずれにせよ、ガサガサした音でなく、もっと密度の濃い響きが聞きたいところであった。

1左

※前方左より トロメーオ(小林紗季子)クレオパトラ(高橋維) 


2中
※中央チェーザレ(成田伊美)
          
※写真提供 公益財団法人東京二期会  撮影 三枝近志


 3幕構成で、15~20分の休憩2回を含め、終演は6時近く。客の入りはすこぶる良く、なかなかの盛況だった。歌手陣は若手ばかりなので、その知り合いのお客さんも多いように見える。

コメント

ジュリオ・チェーザレ

2階席で聞きましたが、私はオケの音に不足は感じませんでした。2幕の最初で、一部奏者が舞台上で演奏しましたが、その効果がよく聞き取れました。歌の方は東条さんの仰るとおり、ソットヴォーチェは聞き取りにくく、フォルテになると怒鳴ってしまうし、一本調子で表情が不足だから退屈に感じられるところなどがあり、まだまだこれからの方たちの舞台なのだなと思わされました。歌唱、演技力が練られていない場合、舞台を頻繁に回すような動きの多い演出だと落着きのなさばかりが目立ちます。登場人物たちの大きな付け耳はマンガかアニメからの引用でしょうか?

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