2017-10

2015・5・23(土)クシシュトフ・ウルバンスキ指揮東京交響楽団

     東京オペラシティ コンサートホール  2時

 一昨年4月から首席客演指揮者を務めているクシシュトフ・ウルバンスキが、昨年10月に続き登場。今日はルトスワフスキの「交響曲第4番」、ドヴォルジャークの「チェロ協奏曲」(ソロはタチヤナ・ヴァシリエヴァ)、スメタナの「わが祖国」から「高い城」「ヴルタヴァ(モルダウ)」、「シャールカ」を指揮した。

 ウルバンスキは東響との演奏でこれまでにもルトスワフスキの作品を盛んに取り上げているが、今日も圧巻は、その「第4交響曲」だった。あたかも霧の中か深海の底を彷徨うような神秘的な響きを持った冒頭から、早くもこの作品と演奏の素晴らしさに魅了されてしまう。演奏時間19分ほど、多数の打楽器とピアノを交えた、多彩な音色の変化が魅惑的だ。
 プログラムの1曲目にこういう作品を持って来たところが、ウルバンスキの演奏会らしくて面白い━━たしか前回も、キラルの作品を最初に置いていたのではなかったか?

 2曲目は、ヴァシリエヴァの弾くドヴォルジャークの協奏曲。彼女の温かく恰幅のいい、実に深みのあるソロに、これまた魅惑されてしまう。ウルバンスキは何となく殊勝に合わせていた感じだったが、全曲最後のオーケストラだけの個所で突然巻き返しに出て、おそろしくスケールの大きな終結へ持って行ったのが微笑ましい。

 「わが祖国」からは、最初の3曲だけ演奏したところがミソ。いかにも「後半3曲はいずれ・・・・」と言わんばかりのプログラミングだが、しかし、これはなかなか個性的な演奏だった。
 比較的遅めのテンポで、念入りに音を組み立てる。普段はあまり聞こえないような内声部までくっきりと浮かび上がって来るにもかかわらず、全体の音色にはちょっと翳りのようなものがある。このあたり、東京響の演奏も芸が細かかった(コンサートマスター 大谷康子)。

 そして、リズムがいい。「モルダウ」での、舞曲が次第に遠ざかって行く個所でのリズム感とアクセントは面白かったし、「シャールカ」での軍団が酔い潰れて行く場面でのリズムも小気味よかった━━ここでは「鼾」が異様に強調されていた。
 ともあれ、こういう凝った演奏は、もう一度やると、もっと完璧になり、更に個性的な味が出るという類のものだろう。

 ポーランド生まれの33歳、ウルバンスキ。端倪すべからざる才能の持主である。

コメント

妖精王

氷の中に封じ込めていた花を、さあもういいよと解き放つ。するとオーケストラはふわりと咲いて薫り立つ。そういう瞬間がいくつもあって幸せでした。たとえばコンチェルトの第2楽章とか、モルダウとか。

私もウルバンスキにはかなりの才能を感じてます。 ルトスワフスキで既に別世界に連れていかれました。こんなにも美しい曲だったなんて!何年か前にサロネン/フィルハーモニア管で聴いた時(同じホール)は一階最前列だったこともあり若干こもって聞こえてましたが今回は二階ステージ横、響きは申し分なし。オケも大健闘。ドヴォコンも素晴らしい。指揮者、ソリスト、コンマスが互いにアイコンタクトをとって演奏していたのが微笑ましく温かみのある音が溢れ感動的だった(この日のコンマス、大谷康子さんの気品のあるステージマナーは好感度大)。そして「我が祖国」、ウルバンスキは音楽監督をつとめるインディアナポリス響とのCD(テラーク)、今年から首席客演指揮者に就任する北ドイツ放送響とのCD-Rでも前半三曲した演奏していません。何か理由がありそうです。現代的でスタイリッシュでカッコイイ演奏!モルダウ以外苦手だったこの曲が好きになった。いつか後半三曲も聴いてみたい。この日のコンサートは本当に素晴らしかった!

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