2017-06

2015・5・22(金)渡辺玲子&ルケシーニ デュオ・リサイタル

    サントリーホール ブルーローズ(小ホール) 7時

 渡辺玲子とアンドレア・ルケシーニが協演。ベートーヴェンとシューベルトの作品で2夜連続のコンサートを開いている。
 今日は2日目で、前半にベートーヴェンの「ソナタ第10番」、シューベルトの「即興曲 作品90の3」(ピアノ・ソロ)と「華麗なるロンド」、後半にベートーヴェンの「ソナタ第8番」「同第9番《クロイツェル》」という、重量感のある長大なプログラムだった。

 渡辺玲子の明晰で鋭角的な音色の演奏には緊張を強いられるものがあるが、それを包み込むようなルケシーニの雄弁な表情のピアノと相まって、シューベルトの「ロンド」では素晴らしい昂揚感がつくり出されていた。ここに現われたシューベルトの音楽は、あの大ベートーヴェンにもひけをとらぬほどの毅然たる力強さ、気魄に満ちた情熱━━だったのである。

 もちろん、ベートーヴェンのソナタ集でもその力は発揮されていた。最初の「第10番」では、ルケシーニの流れるようなピアノに、やや生硬な渡辺のヴァイオリンが乗りにくいような感があり、音楽の密度に隙間が多いように思えたが、休憩後の2曲ではまず充分だっただろう。もっとも、「クロイツェル・ソナタ」の第3楽章の最後が何となく妙にあっさりと終ってしまったのには━━「決め」が少々軽かったか━━ちょっと肩透かしを食らわされた気分だったが。

 この小ホールで聴くピアノの音は、これまであまり良いと思ったことはなかったのだが、ルケシーニは、予想外に美しい音で楽器を響かせてくれた。鳴らし方を巧く心得ているのかもしれない。休憩後、「第8番」に入った時の彼の、自信満々、何かを語りはじめたようなピアノには、思わず居ずまいを正したくなるような気持にさせられたほどであった。

 唯一、私が反発したくなったのは、ルケシーニがソロで弾いた「即興曲」だ。アンダンテのテンポをアダージェットに落とし、また1小節ごとに最後の部分にリタルダンドを施すような弾き方(最近のピアニストたちがよくやるテだ)は、これも気にしだすと、我慢がならなくなる。好みの問題だが。

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