2017-06

2015・5・14(木)ユベール・スダーン指揮東京交響楽団

   サントリーホール  7時

 久しぶり、スダーン=東響の音が蘇った。
 この日のプログラムは、モーツァルトの「交響曲第31番ニ長調《パリ》」、「フルートとハープのための協奏曲ハ長調」(ソロは高木綾子と吉野直子)、フランクの「交響曲ニ短調」。がっしりと引き締まった造型、厳しく隙のない構築性は、以前と少しも変わらぬスダーン独特の音楽である。

 「パリ」はつい先ごろ、川崎での「モーツァルト・マチネ」でもノットの指揮で演奏された曲だが、こちらスダーンの指揮では、いっそう筋肉質の音楽になる。そして、バロック・トランペットを使用しての明るい音色が、祭典的な雰囲気を出す。歯切れよくひた押しに押す演奏が素晴らしい。

 一方、ふつうなら華麗な雰囲気を漂わせるこの「協奏曲」では、スダーンらしく確然たる構築が前面に出て、至極シリアスな音楽となっていた。2人のソリストも生真面目に演奏して、あまり寛ぎのない音楽になっていたのは・・・・良し悪しか。

 フランクの交響曲では、強靭な骨格を備えた壮大なつくりの、激しいデュナーミクの対比が際立つ。ブリリアントでありながら、強面でもある。豪演である。
 第1楽章は細密な設計が念入りになり過ぎて、多少緊張感の薄らぐ時もあったが、第2楽章ではスダーン特有の明確で鋭いリズムが、弦の響きを粒立たせ、ミステリアスな効果さえ生んでいた。第3楽章も壮大な起伏に富んだものだが、それは曲線を描いて起伏をつくるのではなく、ごつごつした強弱の対比が、いっそう厳しい姿の山脈の威容を見せるといった演奏なのである。
 いずれにせよ、ここに現れたセザール・フランク像は、滋味で渋い作曲家であるどころか、毅然たる精神力をみなぎらせて屹立する巨人の風格を感じさせるだろう。

 こういうフランクを聴くと、スダーンの指揮で再現される19世紀のフランス系の作品は、結構面白そうだ、という気がして来る。それもダイナミックな、劇的な作品が良さそうだ━━ベルリオーズあたりをやってくれたら、往年の名指揮者マルケヴィッチが響かせたような、小気味よいリズムで畳み込む躍動的なベルリオーズが聴けるかもしれない・・・・。
     ⇒別稿 音楽の友7月号 演奏会評

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