2017-10

2015・5・9(土)飯守泰次郎指揮東京シティ・フィル

    東京オペラシティ コンサートホール  2時

 桂冠名誉指揮者の飯守泰次郎が指揮。ブルックナーの「第8交響曲」(ノーヴァク版第2稿)で、シティ・フィルともども、見事な演奏を聴かせてくれた。

 飯守のブルックナーは、以前より更に深みを増したように思う。音楽に無味乾燥なところなど一切なく、ヒューマンな温かい情感がいっそう濃くなった。時に急激なアッチェルランドがかけられることがあったり、突然ごつごつした力感が強調されることもあったりして、激しい感情の迸りを感じさせるところも多いが、全体に流れがよく、演奏全体は明確な均衡を備えている。

 第4楽章、【N】のところ、あの全管弦楽が突然爆発して、ティンパニがB-下のF-Bー上のFと豪快に連打する個所は、25年前のペーター・ザードロ(ミュンヘン・フィル)もかくやの破壊的なパンチで開始されたが(今日のティンパニは客演の菅原淳さんで、大ベテランの名手の風格も豊かに、相変わらず堂々たる演奏だった)ここもいい流れで進んでいた。だが、やはり出色の出来は、アダージョ楽章(第3楽章)であったろう。
 全曲総計80分、速めの、引き締まったテンポによる演奏であった。

 シティ・フィルは、先月定期での新・常任指揮者の高関健との「わが祖国」と同様、今日も気合充分の快演を披露した。戸澤哲夫をリーダーとする弦楽セクションの健闘も目覚ましい。
 だが残念なことに、ホルンとワーグナー・テューバは、第3楽章コーダの聴かせどころをはじめ、肝心な個所で何度も不安定さを露呈し、せっかくの力演に水を差したことが惜しまれる。トランペットにも、ほんの僅かではあったが、不安定さが聞かれた。

 ━━とはいえ、もともと楽員数の多くないこのシティ・フィルゆえ、「ブル8」のような大編成の交響曲となれば、他楽団からの応援も・・・・つまりトラ(エキストラの業界用語である)も多数入っていたので、良い点にしても悪い点にしても、一概にどうこう言うわけには行くまい。結局、常任高関と事務局と運営委員たちの努力により、優秀な楽員を補充し、演奏水準を安定させて、「いつも話題になるオーケストラ」としての存在を取り戻してほしいと願うしかない。
    別稿 音楽の友7月号 演奏会評

コメント

ピアノうまい

演奏に先立って行われた指揮者の解説も良かった。本人は、ピアノはしばらく弾いてないとか言っていたけど、達者なこと。トリスタン2幕との対比や、不協和音の劇的効果などすごく参考になった。

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