2017-08

2015・4・18(土)小山実稚恵&大野和士指揮東京都交響楽団

     サントリーホール  2時

 「小山実稚恵デビュー30周年記念~春~」と題された演奏会で、ショパンの「ピアノ協奏曲第2番」と、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」が組まれた。
 協演した大野和士と東京都交響楽団は、最初にウェーバーの「オイリアンテ」序曲を演奏し、記念コンサートの幕開きを飾っていた。

 大野と小山は、一種の盟友関係ともいうのか、5年前の小山の「デビュー25周年記念」でもブラームスのピアノ協奏曲2曲で協演しており、また2年前にもラフマニノフの「第3協奏曲」で協演している。
 旧きを辿れば、今から31年前(1984年3月15日)、大野和士が東京都響の「ファミリーコンサート」で「指揮者としての公式デビュー」を果たした時、ソリストとしてラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」を協演したのが小山実稚恵だった、という因縁がある。

 それは、彼女はチャイコフスキー国際コンクールの第3位に入賞した2年後のことだった。「31年前」では、「デビュー30周年」と数が合わぬではないか、ということにもなるが、彼女は1985年のショパン国際コンクール入賞の年を「公式デビュー」の年━━と位置づけているそうである。したがって、大野・都響の初顔合わせの演奏会での協演は、彼女にとっては「公式デビュー前」ということになるわけだ。

 余談だが、つい先日、ある地方オーケストラのサイトを調べていた私は、そこにゲスト・ソリストとして出演する予定の彼女について、
 ━━小山実稚恵 デビュー40周年━━
と麗々しく書かれていたのを見て、肝をつぶした。慌ててそのオケの広報担当さんに
 「やばいよこれ、ご本人が見たら卒倒するよ」
と連絡、修正してもらうという、マネージャーもどきのことまでする羽目になったのだが。
 何日かたってから当の小山さんにその話をしたら、案の定、飛び上がって驚いていた・・・・。

 さてその演奏だが、これはもう、異様なほどに物凄い気魄のこもったものだった。特にラフマノニフの「3番」。聞こえぬくらいのピアニッシモで開始され、そのままささやくような、控えめな語り口で進められたピアノ・ソロが、やがて凄まじい昂揚に向かって行く。第1楽章半ばのカデンツァの個所など、何か憑かれたような演奏であった。燃える情熱にピアノもろとも己が身を投入するといった雰囲気には、息を呑まされてしまう。
 第1楽章第1主題における抑制された最弱音と、第3楽章クライマックスでの豪快な音とが鮮やかな対比をつくる、その演奏設計の妙━━。

 大野和士と東京都響の演奏が、また素晴らしいものだった。東京文化会館のドライな音響の中では真価を発揮できなかった前2回(8日、12日)の演奏と違い、この残響豊かなサントリーホールでは、3日の定期におけるものと同じような瑞々しい音色、完璧な均衡、弛緩のない推進力、精密なニュアンスなどが、今日の3曲の演奏において、あますところなく甦っていたのである。こういう演奏を聴けば、この大野と都響の組み合わせは、ベストに近いものだということを印象づけられるだろう。

 皇后陛下御臨席の中で繰り広げられたラフマニノフの協奏曲が熱狂的な拍手とブラヴォ―に包まれたあと、小山と大野は、ドビュッシーの「小舟にて」を連弾で演奏した。何となくぎこちない連弾ではあったが、微笑ましい光景であった。

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