2017-11

2015・4・3(金)大野和士指揮東京都響 音楽監督就任記念公演Ⅰ

    サントリーホール  7時

 都響における第5代音楽監督・大野和士の時代が成功裡に幕を開けた。
 シュニトケの「合奏協奏曲第4番=交響曲第5番」と、ベートーヴェンの「交響曲第5番《運命》」という超個性的なプログラムが、その最初の定期演奏会を飾る。

 古典交響曲の雄であり、かつ永遠の生命を誇るベートーヴェンの「5番」と、バロックの協奏曲様式と交響曲形式とを合体させて新しい試みを行なったシュニトケの「5番」━━これに来週のマーラーの「7番」を併せて、都響の歴史と未来とを象徴させる・・・・というのが、大野音楽監督の2つの就任記念定期のコンセプトなのだそうである。この3曲の初演年が、ベートーヴェン(1808年)マーラー(1908年)シュニトケ(1988年)と、「8づくし」なのは、隠しテーマか?。

 シュニトケの「5番」は、1990年に井上道義がこの都響を指揮して日本初演した曲である。最初の2つの楽章がコンチェルト・グロッソ形式、後半の2楽章がシンフォニーという具合に、聴感上では何か木に竹を接いだ作品のような感がしないでもなく、協奏曲部分はかなり尖った響きだが、交響曲の方はすこぶる豊麗、色彩的な音色で耳当りも好い。かように、斬新には違いないけれども、かなり風変りな作風を備えた、大編成の作品だ。

 第4楽章は混沌とした音調のうちに暗く消えて行く、という終結を持つのだが、この悲劇を、強い意志を以って救い、希望の確信に導くのが、ベートーヴェンの「5番」なのだ━━というわけだろうか。
 こちらの方は弦16型、木管は倍管という編成で、全ての力を結集し、凄まじいエネルギーで驀進する演奏になった。大野の第4楽章におけるテンポは、スコア指定の「アレグロ」を上回るモルト・アレグロともいうべく、しかもコン・ブリオ的だ。コーダは「プレスト」をしのぐ「プレスティシモ」といってもいいほどのテンポで、急ブレーキなどかけずに、そのまま煽りに煽った熱狂の裡に曲を結んで行く。
 提示部がリピートされはじめたところでの昂揚感も圧倒的だった。

 尖った響きではなく、むしろなだらかで、完璧な均衡を備えた響きだったが、全曲にわたり強靭な意志力と推進性を感じさせる演奏だった━━まさに、日本のオーケストラそのものである。
 今夜の客席には、オランダの音楽ジャーナリストらしき人々をはじめ、外国人の姿もかなり多く見えたが、彼らにはこれらの特徴が正確に読み取れたろうか? 

 それにしてもこのベートーヴェンの「第5交響曲」は、やはり、超弩級のエキサイティングな交響曲である。そして、ベートーヴェンの「3番」以降の交響曲には、やはり「大編成」がよく似合う。
        ⇒別稿 モーストリー・クラシック6月号 公演Reviews

コメント

ザ ワ-ルド

いつも配信ありがとうございます。


仰有るとおり日本のトップクラスオケの性能は米国の2.3に肩を並べ欧州には指揮者次第で越したと思います。
特に30歳前後の若者たちは癖のなさ技術qualityでは素晴らしいと思いますが、日本人愛好家はいつまでもウィーン、ベルリンですし演奏内容にくらべ高い入場料など観光気分なのでしょうか、、 ジャ-ナリズムもそのへんもう少し正確に書かれては。


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