2019-09

2・20(金)ジャン=クリストフ・スピノジ指揮新日本フィル

     サントリーホール  7時15分

 スピノジ、黒いスーツに真紅のネクタイで登場。なるほどフランス人、といったような、洒落っ気のある雰囲気である。
 プログラムはロッシーニの「チェネレントラ」序曲、シューベルトの「交響曲第3番」、サン=サーンスの「交響曲第3番」という、ちょっとユニークな選曲だが、この演奏スタイルもなかなか洒落っ気のあるものだった。

 最も面白かったのは、やはり「チェネレントラ」だ。茶目っ気を効かせた木管のやりとり(ファゴットの1番が上手い)、ものものしいけれども軽快なクレッシェンドの入りなど、いかにもロッシーニのユーモアを強調して浮き彫りにしたような音楽のつくり。
 並みの演奏で聴くとあまり特徴なく感じられるこの曲が、おそろしく一筋縄では行かぬ、癖の強い音楽となって立ち現れるから面白い。

 いじりすぎて自然さに欠ける、という人もいるだろうが、作品にこめられたあらゆる要素を見直し、新鮮さを打ち出そうという演奏姿勢は、貴重だ。もちろん、策に溺れて演奏がつまらなくなっていたらどうしようもないが、今日の新日本フィルはこのスピノジの音楽によくついて行っており、すこぶるアクの強い演奏をつくり上げていた。

 シューベルトの「3番」も、一つのモティーフを繰り返すたびごとにデュナミークにちょっとした趣向を施すといったような、随所にひねりを効かせた演奏だが、極度に遅いテンポでものものしく開始した第1楽章の序奏をはじめ、ふだんは闊達に聞こえるこの交響曲が、妙に翳りを帯びて薄暗い音楽に感じられたところが、これまた面白かった。
 それでも第4楽章は颯爽たるもので、特に後半、コーダにかけて追い込んで行く押しの強さ、エネルギーの物凄さは、「持って行き方」の巧い指揮者だな、と感心させられる。

 これらに比べると、サン=サーンスの「3番」は、ピアニッシモの個所を強調してミステリオーゾな気分を出した個所が多かったものの、全体から言えば、むしろ正攻法で押したスタイルだろう。
 最強音の個所では、オーケストラを鋭く硬質な音色で、ダイナミックに咆哮させる。2階C席も上手側の端で聴いたせいか、舞台上手に配置されたコントラバスの低音があまりよく聞こえないという傾向はあったけれども、もともと音楽の重心が低くないスピノジの指揮だから、第4楽章などやや刺激的な音響になっていたのは仕方ないだろう。新日本フィルもよくついて行ったが、そういう個所では、ちょっと粗さが目立つ。

 とにかくスピノジ、魅力的な個性を満載した指揮者だ。また聴きたいものである。

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