2019-08

5・17(土)ユベール・スダーン指揮東京交響楽団

  サントリーホール

 シューベルトの「第1交響曲」冒頭では、明晰な弦楽器群の音色と、それとは異なる丸みのある独特の音色を持った強い響きの管楽器群のハーモニーとが同時に高鳴り、実にユニークな音になる。
 これこそが、スダーン・サウンドというべきものだ。彼が以前音楽監督をつとめていたあのザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団でさえ、いつもうまく鳴らせるとは限らなかったサウンドである。
 このような管楽器群のバランス作りは、至難の業に違いない。第3楽章あたりになるとそのバランスはいささか緩んでしまうのだが、しかしたとえ前半2楽章の間だけでも、東京交響楽団が完璧にその音を出したということは、音楽監督スダーンとの関係が今や(再び)最良の時期にあることを示すものではなかろうか。

 この日は、シューベルトの交響曲からは2曲。
 10型編成で清澄な古典的感覚を以て演奏された「第1番ニ長調」に対するに、12型編成に拡大されてロマン派的な翳りを折り込まれた第4交響曲ハ短調「悲劇的」の演奏との対比の見事さ。
 それは、充分に説得力をもつ解釈である。これまで数多く聴いてきたスダーンと東響との演奏の中でも、抜群かつ最高の出来だ。
 2曲の間には、リーリャ・ジルベルシュテインの鮮やかなソロとの協演によるプロコフィエフの「ピアノ協奏曲第3番」があった。意表を衝くプログラミングだが、不思議なことにこの嵐のような協奏曲がシューベルトの「2つの世界」の間に在って、これまた絶妙な絵巻物的効果を発揮していたのであった。

 これは、今年になって聴いたオーケストラ・コンサートのベストともいうべきもの。

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