2017-10

1・13(火)阪哲朗指揮東京フィルハーモニー交響楽団

   サントリーホール  7時

 阪哲朗の指揮を久しぶりに聴く。

 ドイツのレーゲンスブルク歌劇場音楽総監督としての彼の活躍ぶりが日本にはなかなか伝わってこないのが残念だが、今年は11月に二期会の「ウィーン気質」を指揮する予定もあるから、彼の近年のオペラ指揮の片鱗が日本のファンに披露される日も近い。
 今日はしかしオペラでなく、東京フィルへの客演コンサートで、ドヴォルジャークの「チェロ協奏曲」とベートーヴェンの「交響曲第7番」を指揮した。

 コンチェルトのソリストは、ベテランの堤剛である。音量は決して大きくはないが、温かいまろやかな音色と滋味あふれる表情で聴かせてくれる。どちらかといえば、「温厚なドボルジャーク像」である。阪と東京フィルも、叙情的な個所ではそのソロに美しく寄り添った。ただ、音楽が自在に揺れ動く個所では、合わせ不足なのか、些かチグハグな感が少なくなかったようだ。堤の演奏は、ソロ・アンコールとして弾いたバッハの「無伴奏チェロ組曲第3番」の「ブーレ」での、天鵞絨のようなチェロが最大の聴きものとなった。

 阪の本領は、後半のベートーヴェンの「7番」で、やっと発揮されたといえようか。速めのテンポで軽快に、直截にたたみかけるスタイルで、第3楽章など見事な緊迫感を聴かせてくれた。テンポの設定や楽章内の起伏のバランスなどにも細かい配慮がなされており、特に第2楽章では、遅いテンポで開始した冒頭から次第にテンポを速めて頂点をつくり、やがて次第にテンポを落して終結に向かうという巧みな構築が、明快に聞き取れた。
 またこの楽章で阪が行なった、波打つようなリズム構築も印象的で、第1楽章展開部の終り近くにおけるリズムの細かいアクセントづけなどとともに、彼の細かい設計を聴きとることができる。

 とはいえ、オーケストラともども、ちょっと残念だったのは第4楽章。エネルギッシュに煽ったのはよかったが、それが精一杯━━だったのか、コーダのファイナル・ステージで、あと一押し・・・・の力感が聴かれなかったこと。あそこで最後のダメ押しの盛り上げが出ていれば、聴衆のブラヴォーももう少し盛んになったと思われる。

 一方、東京フィルの方も、第4楽章では速いテンポに息切れしてしまった感がなくもない。それに、全体にもう少し瑞々しい、緻密な陰翳をもった響きが欲しいものだ・・・・。オケがそれを独自に発揮していれば、阪の軽快なエネルギー感をもった指揮との、絶妙な配合が聴かれたのではないかと思うのだが・・・・。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/2078-629d0801
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

カテゴリー

全記事表示

全ての記事を表示する

RSSフィード

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」