2017-10

12・11(水)パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィル・ブレーメン
「ブラームス・シンフォニック・クロノロジー」第2日

     東京オペラシティコンサートホール  7時

 「ハイドンの主題による変奏曲」で始まり、クリスティアン・テツラフがソロを弾く「ヴァイオリン協奏曲」を挟んで、最後が「交響曲第2番」。アンコールは昨夜同様「ハンガリー舞曲」からで、今日は「第3番」と「第5番」。

 パーヴォ・ヤルヴィが指揮するドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンは、相変わらず熱っぽく活気にあふれ、躍動的にブラームスを高鳴らせた。
 昔は、ブラームスといえば、しんねりむっつりの代表格のようなイメージが流布していたものだが、このドイツ・カンマーフィルのような演奏を聴けば、それは根底から覆されるのではなかろうか。「ハイドンの主題による変奏曲」での闊達さといい、「ヴァイオリン協奏曲」でのエネルギッシュな推進性といい、「第2交響曲」フィナーレでの熱狂といい、いずれもこの作曲家の若々しい気概を存分に伝えてくれるのである。

 ただ、このフィナーレの最後の10小節間における今回の演奏は、音響的な面から言うと、些か狂騒的であり、━━ここまでマーラー的に羽目を外してしまうブラームスは、ちょっとどうかな、という感がしないでもない。
 しかし、今回のパーヴォとカンマーフィルが、ただそんな解放的な演奏ばかりしていたのかというと、決してそうではない。

 むしろ息を呑まされたのは、交響曲の第2楽章終り近く、第84小節あたりからほぼ10小節間における、異様に陰影の濃い、激しい緊迫感に富んだ演奏だった。この穏やかなアダージョ・ノン・トロッポの楽章に、こんな魔性的なものが秘められていたのか・・・・と、改めて感心させられてしまう。
 こういう、新しい発見をもたらしてくれる演奏は、素晴らしい。

 協奏曲でのクリスティアン・テツラフの鮮烈な演奏については、改めて云々する要もないほどだ。第1楽章の、オーケストラのみの長い提示部が演奏されている間、彼は身動き一つしない。ソロの出るべきほんの1小節ほど前になって、突然楽器を構えたかと思うと、躍り上がるような身振りで、電光のごとき素早さで弾きはじめる。その演奏の強烈で、毅然として、切り込むような鋭さに満ちて物凄いこと! 
 まさに全曲、一分の隙もない緊迫の世界だ。これにパーヴォとオーケストラが、丁々発止と応酬する。ブラームスの協奏曲がかくも鋭角的に再現された例は、決して多くはなかろう。4年前にテツラフが、ノット指揮するバンベルク響と協演した演奏よりも、さらにスリルに富んだ演奏だった。

 テツラフとの協演は、もう1曲、14日に「二重協奏曲」がある。聞き逃せない。
       ⇒モーストリー・クラシック3月号 公演Reviews

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