2017-10

11・21(金)マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団

     ミューザ川崎シンフォニーホール  7時

 クリスチャン・ツィメルマンをソリストにブラームスの「ピアノ協奏曲第1番」、第2部にムソルグスキー~ラヴェルの「展覧会の絵」。

 ヤンソンスとバイエルン放送響の演奏は、このホールで聴くと、非常にシャープなリズム感にあふれた、躍動的なものに聞こえる。協奏曲など、極めて明晰、明快なブラームス像であり、ヤンソンスならではの強靭で真摯な集中力も、それは見事なものだ。
 バイエルン放響も力感は充分、第2楽章での沈潜した叙情性も素晴らしい。

 かたやツィメルマンの演奏も、音色は相変わらず綺麗ながら、そのフォルティシモは切り込むように鋭角的だ。先頃この曲を聴いたペーター・レーゼルとは対極の位置にある演奏とも言えるが、もちろんこちらも、別の意味で素晴らしい。
 演奏の推進力が目覚ましいため、時おりオケとピアノがずれることもあったが、そんなことはどうでもいい.。━━第3楽章など、煽るヤンソンスとオケに、ツィメルマンの引き締まったピアノとが相まって、凄まじいエネルギーを噴出する演奏となっていた。

 一方、「展覧会の絵」は・・・・実は私には大変苦手な曲で、もしかしたら「3大・嫌いな曲」の一つかもしれず・・・・と言ってはミもフタもないが、ましてこのヤンソンスとバイエルン放送響のような、どちらかといえば強面の演奏で聴くと、やはり面白くないという気持が先に立ってしまうのである。
 とにかくこれは、細部に至るまで音を綿密に組み立てた、しかもあまり標題にはこだわらない、むしろシンフォニックなアプローチの演奏だろう。たとえば「ビドロ」ではそれが効果的に生き、バイエルン放送響の重厚な威力が余すところなく発揮される。「カタコンブ」での、一種グロテスクな表現も物凄い。

 ブラームスと同様、各音符は鋭角的に扱われ、しなやかではあるが筋肉質に響く。
 今回は打楽器が極度に強調され、ティンパニやバス・ドラムやタムタムの強打は凄まじいほどだ。ヤンソンスは、6年前にコンセルトヘボウ管弦楽団を指揮したCD(RCO-LIVE KKC-5306)でも、「サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ」や「カタコンブ」の一部、「バーバ・ヤガーの小屋」などで、ある程度打楽器群を強調していたが、今夜の演奏は、それを遥かに凌ぐ大がかりなものだった。「キエフの大門」では本物の鐘が使われ、これもすこぶるシャープな音だった。

 アンコールは、ヨハン&ヨーゼフ・シュトラウスの「ピチカート・ポルカ」、ドヴォルジャークの「スラヴ舞曲ハ長調作品72の7」。前者はタンバリン入りの版による、おそろしく無骨なポルカに化けた演奏。後者は、鮮やかで闊達な演奏である。

 なお、この演奏会は、(川崎)市制90周年記念事業、ホール開館10周年記念事業と題されていた。
     ⇒モーストリー・クラシック2月号 公演Reviews

コメント

11/27日兵庫芸文ホールで同じプログラム聞きました。
ブラームスのこの協奏曲は重くて苦手なほうだったが第一楽章冒頭からこのオケの豊かな響きに圧倒されました。
それにジメルマンは一歩も惹かないピアニズムで相対しまれな名演がうまれていた。ヤンソンスの指揮はピッツバーグ響で2回聞いていたが今回が期待どうり良かった。このオケ、ミュンヘンのホールで大ジョッキーで飲むビールの味だ。南ドイツの明るさと苦味とがブレンドされたような銘酒。低弦をベースに巨大なピラミッドを描いていく.(コントラバスの主席の弦が開始早々切れ後ろの東洋人の小柄な女性が自分の物と取替て抱えながら戻ってくるハプニングあり)
4Fc9と言う席で聞いたが音量はたっぷりでちょっと日本のオケを聞くのが当分つらい。世界でも指折りの楽団だと確認できた。
「展覧会の絵」は1970に聞いたプレトル/パリ管を聞いて以来記憶に残る演奏はなかったのだが。今回の演奏はロシア的な不気味さとドイツの緻密さが融合された見事なもの。前者はラベルよりで今回はムソルグスキーよりといえる。アンコールはスラブ舞曲。やっとこの名オケを聞けて本望でした。
旧レニングラードフィル時代からの知り合いの人物のおかげで今回楽屋に入らせていただき奥さんとも会うことが出来ました。ヤンソンス氏の父親時代からの知り合いのこの人物にヤンソンス氏はあらかじめ用意した「ショスタコヴィチ6番と悲愴」のCDを笑顔で差し出した。氏はすこし足を引きずっていたのが気になりましたがまた聞きたいものだ

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