2019-05

11・20(木)ポール・マクリーシュ指揮東京都交響楽団

   サントリーホール  7時

 もともとはクリストファー・ホグウッドが指揮することになっていた定期。彼の急逝のため、ポール・マクリーシュが代わって来日し、指揮台に立った。

 ただしプログラムは、ホグウッドで予定されていた3曲がそのまま生かされていた━━コープランドの「アパラチアの春」(オリジナル版)、R・シュトラウスの「13管楽器のためのセレナード」、メンデルスゾーンの交響曲「宗教改革」(ホグウッド校訂版)。

 折角マクリーシュが初客演するのなら、彼らしいプログラムに変更してくれればいいのに、などと思いながら聴きに行ったのだが、しかし実際に聴いてみると、このプログラムはやはり面白い。「ホグウッドの思い出」という意味を含めてもいい選曲だったし、演奏も素晴らしいものだった。

 「アパラチアの春」は、13の楽器のための版による演奏。この編成で聴くと、響きはいっそう静謐で繊細で清澄になり、洒落た曲というイメージが強くなる。40分近い長さで、山場といったものがあまりないけれども、矢部達哉をコンマスとする都響の、特に小編成の弦の音色が映えていた。
 休憩後のシュトラウスの「セレナード」では、今度は都響の管楽器群が冴える。

 「宗教改革」では、楽譜の指定通り、古い楽器「セルバン」が復活されて演奏されるという、滅多にない機会となった。大蛇みたいな形の楽器である。ただしこれはコントラファゴットとともに第4楽章のコラールに参加するものだったから、ソロとしてどんな音かを聴くわけには行かない。
 といっても、管楽器パートの音が、いつも聴くこの曲とは、今夜はかなり違ったものに━━何と表現したらいいか、適切な言葉が見つからないのだが、ピリオド楽器的な音色に近いものになっていたことはたしかである。

 全体に極めて穏健な、清楚な、透き通ったような音色の演奏だったが、たいへん美しく、実に新鮮に聞こえた。第4楽章コーダでのストレッタの呼吸も素晴らしい。都響の良さと併せ、マクリーシュ独特の透明な音づくりも愉しく味わえた定期であった。

コメント

追伸

波長が合わないと判っているオーケストラの演奏会に敢えて足を運ぶ理由は、指揮者やプログラムによってその波長の合わなさが解消されたり軽減されたりするものなのかどうかを知りたいから。そしてこの日、これまでとは異なる結果を得ることができました。いつもストレスだった、上から刻みつけるような押しつけがましさと質感の不統一による雑味は殆どなくなり、かわりに、瀟洒で典雅な佇まいと透き通るような横の流れがあらわれていました。そしてこの美しいプログラムを組んだ方に思いを馳せる、静かな余白も。

良い演奏会でした。少しだけ都響様のことを見直すことができました。彼らのことは散々貶してきてしまったので、一応そのご報告でした。

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