2019-05

11・13(木)マレイ・ペライア&アカデミー室内管弦楽団

    サントリーホール  7時

 プログラムは、メンデルスゾーンの「弦楽のための交響曲第7番ニ短調」、モーツァルトの「ピアノ協奏曲第21番ハ長調」、バッハの「ピアノ協奏曲第7番ト短調BWV1058」、ハイドンの「交響曲第94番《驚愕》」という、見方によってはすこぶる個性的なもの。ただし、アンコールは無し。

 アカデミー、久しぶりにナマで聴く。オーケストラの弦は8・6・4・4・2。いい音だ。艶があって、しかも落ち着いて気品があり、生き生きした明るさに満ちている。
 メンデルスゾーンのみは指揮者なしで演奏された。そのステージを眺めていたら、1972年春にこのオーケストラが初来日した時、未だ若かったネヴィル・マリナーが弦のトップにリーダーとして座り、颯爽と弾いていた光景を思い出した(※)。
 当時のメンバーはもう残っていないだろう.。しかし、その流れがこのオケに立派に引き継がれているのは羨ましい。THE ACADEMYは、健在である。

 4曲を通して、弦の美しさは際立っていた。こういう厚みのある━━誤解を恐れずに言えばある意味でロマンティックな音色の━━弦のオーケストラでバッハを聴くのも実に久しぶりだが、それが決して古色蒼然たるものに聞こえず、むしろ新鮮でヒューマンな香りを以って響いて来るのが印象的だった。

 これに対し「驚愕」では、首席客演指揮者ペライアがその役目を果たしていたが、指揮者の好みなのか、第2楽章の「驚愕個所」を境に、演奏はハイドンとしては非常にワイルドなものとなり、特にティンパニは、少し乱暴じゃないかと思うようなアジタートな叩き方になっていた。今日の演奏の中ではこれだけがちょっと、という感で・・・・。なんか他の曲を聴きたかったな、とも思わないでもない。

 その意味でも、ペライアは、やはり2つのピアノ協奏曲が圧巻だった。透明清澄な音色は昔からのペライアの持ち味だが、今はこれに深い滋味と、鋭い集中力が加わっている。モーツァルトのカデンツァは、第1楽章にはペライア自身の、第3楽章にはブゾーニのものを使っていた。これらの個所でもペライアの精妙な美しさが最大限に発揮されていた。
 バッハの協奏曲をピアノで聴くのも何か久しぶりという感で、私はこのスタイルはもともとあまり好きではないのだけれど、今日のペライアのような演奏を聴くと、悪くないなという気もする。

 それにしても、これだけ緻密でしかも伸びやかで、そのバランスが絶妙に保たれた演奏を聴かせるペライアが、いざ指揮者として交響曲を演奏するとなると、なぜあんなに激した音楽をつくるのか、不思議である━━今日のプログラムを聴いた範囲での話だが。

 ところで今夜のサントリーホールは、学生の団体鑑賞も入って(愉しんでくれただろうか?)ほぼ満席状態だったが、なぜか少し換気が悪かったのではなかろうか? ホール内の空気が、何となく湿気を含んで、いつもとは違うにおいになっていた。ティンパニ奏者がのべつ調律に気を遣っていたように見えたのはそのせいかな、という気がしたものの、別に確証があるわけではない。

(※)アカデミー初来日の際の「火事騒ぎ」については、「マエストロへのオマージュ」を。

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