2017-10

8・7(木)佐渡裕指揮PMFオーケストラ東京公演

  サントリーホール  7時

 札幌のPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)は、私も1997年から2010年までの間は毎年取材に訪れ、特に2000年前後にはアドヴァイザー委員や評議員なども務めて入れ込んでいたほどだったが、近ごろはもうご無沙汰で、オーケストラの東京公演を聴くだけになってしまった。

 今年は創設25年記念とあって、大規模に行われたようだ。
 公式プログラムを見ると、指揮者陣だけでも━━マゼールは周知のように来られなかったものの━━オスモ・ヴァンスカ、ジョン・ネルソン、ガエタノ・デスピノーサ、ドミンゴ・インドヤン、佐渡裕、沼尻竜典ら錚々たる顔ぶれが並んでいる。教授陣にもおなじみのライナー・キュッヒルをはじめ、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、あるいはシカゴ響やメトロポリタン歌劇場管などからおなじみのメンバーが30人近く顔を揃えている。
 演奏会の数も、例年と比べると、目の回るほど多い。アカデミー生(122人)も忙しかったろう。このスケジュール表を見ると、今年は教育音楽祭としてより、公演音楽祭としての性格が強くなっていたように思われる。

 さて、今年の東京公演は、佐渡裕が指揮した。彼がPMFオケに登場するのは13年ぶりだという。創設者レナード・バーンスタインの弟子のひとりとして、90年代にはこの音楽祭のレジデント・コンダクターを務めていた佐渡である。久しぶりの復帰に、さぞや感無量だったのではなかろうか。
 プログラムは、バーンスタインの「キャンディード」序曲、チャイコフスキーの「ロココ風主題による変奏曲」、ショスタコーヴィチの「交響曲第5番」であった。

 「キャンディード」序曲は、まさに「恩師」の指揮を思わせる演奏だろう。沸騰する躍動感で開始され、後半も熱狂と興奮で盛り上がる。先日のスラットキンとリヨン管より、よほど張りのあるダイナミックな演奏である。
 これに対し「ロココ」では一転して、泡立ちクリームのように柔らかい音色がステージを満たす。PMFオーケストラがこれだけ優しい響きを聴かせたことは、私の聴いて来た範囲では、そう多くはなかった。チェロのソロを弾いたセルゲイ・アントノフ(1983年モスクワ生れ、2007年チャイコフスキー国際コンクールチェロ部門優勝)も素晴らしい。艶やかな、しかも引き締まった芯の強い演奏を聴かせてくれた。

 ショスタコーヴィチの「5番」は、アカデミー生全員が舞台に乗ったのではないかと思われるほどの超大編成。私の席からではよく確認できなかったが、第1ヴァイオリンも11プルト(=22人)くらいだったのでは?(21人だったと言う人も)。
 しかし、この大編成が、ガリガリ弾いて徒に怒号するのではなく、余裕を持った音量で、たっぷりと美しく鳴っていたところがいい。もちろん第4楽章の大詰では壮烈に咆哮していたけれども、オーケストラの響きには、節度と均衡がしっかりと保たれていた。管も上手いし、打楽器群もよかった。

 この音楽祭の受講者の演奏技術水準の高さはいつもながらのものだが、それが短い間にここまでオーケストラとしてのまとまりを示すにいたるのだから見事なものだ。今年はいろいろ異なった指揮者による本番の回数が多かったことが、むしろ役に立ったのだろうか? その楽員たちの自発性と、リハーサルで仕上げたものを本番で自由に発揮させるのが主義という佐渡の指揮とが相まって成功したのが、今日の演奏であろう。

 アンコールに、例の「PMF賛歌」━━ホルストの「惑星」を田中カレンが編曲したもので、昨年のメルクル指揮の東京公演では管弦楽版が演奏されていた━━をまたやってくれるかなと期待していたのだが、当てが外れた。
 ともあれ、これが今年のPMFの千秋楽。
       北海道新聞 演奏会評

コメント

トピックとは関係ないのですが…

先生に噛みつく者がおるようです。関西のS氏です。氏の日頃の拙い仕事内容や考え方(フラブラ・フラ拍の容認など)から、氏が音楽に対する感性をまったく持ってないことはちょっとクラシック音楽を聴く人ならばみんな知っていることです。しかし、その扇情的な物言いや好戦的な物言いを面白がる人も中にはいます(←まあ、これで売るしか居場所がない訳です)。

一線で筆を振るう人たちに対する氏の嫉妬の塊は相当なようです(吉田秀和さんにも飛びかかるとは!)。もう音楽を論じるのはどうでもよくて、ただそれだけになってる感じに見えます。誠に可哀相です。

今後も暇に任せて、振り向いて欲しいばかりに寄ってくるかもしれませんが、忙しい先生にはどうか対手にされぬようにと思います。

先生にはこれからも変わりなく、一層ご健筆をおふるい下さい。

失礼致しました。

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