2019-11

8・2(土)沼尻竜典指揮日本センチュリー交響楽団&中村恵理

   びわ湖ホール  3時

 恒例のペーター・コンヴィチュニーの演出セミナーを明朝から取材するため、今日の夜に大津へ入るつもりだったが、標記の演奏会が行われるということを知り、急遽時間を繰り上げ、昼過ぎに入る。
 これは日本センチュリー響の「びわ湖定期公演Vol.7」と題された公演である。前・首席客演指揮者の沼尻竜典が、モーツァルトとメンデルスゾーンを振る。

 この劇場で本格的なオーケストラ・コンサートを聴いたのは、私はこれが初めてだ。
 反響版が設置されたステージの景観は、落ち着いた上品なもので、なかなか良い。しかも、濃茶色の反響版と、特に黒銀色(?)の床は、ちょっとザルツブルク祝祭大劇場を小型にしたような雰囲気を思わせる。
 音響は、1階席のP列あたりで聴く範囲では、歌劇場にしては随分よく響くアコースティックだなと思う。ただ、その音色はあまり清澄ではなく、やや混濁したものに聞こえるのも否定できないのだが・・・・もっともこれは、場所によって、また異なるイメージを得るだろう。

 プログラムは、前半はモーツァルトのオペラ3つから━━「フィガロの結婚」から「序曲」とスザンナのアリア「さあ、膝まづいて」、「魔笛」から「序曲」とパミーナのアリア「愛の喜びは露と消え」、「コジ・ファン・トゥッテ」から、「序曲」とフィオルディリージのアリア「岩のように動かずに」という選曲となっていた。
 沼尻のオペラの指揮は、昔よりもさらに自信満々、強靭な1本の芯で貫かれたような構築を感じさせる。細かいアンサンブルに拘泥するよりむしろ目覚ましい推進力、自由な躍動感に重点を置いた演奏になっているように感じられる。その活力ある音楽づくりは素晴らしい。このあたり、ドイツのリューベック歌劇場音楽総監督としての成果の表れなのかもしれない。

 もっとも、プログラムの後半に置かれたメンデルスゾーンの「第5交響曲《宗教改革》」では、エクストンのCD録音が入っていたため、まさにレコーディング向けといったような、威儀を正した几帳面な演奏に転換してしまった。それは立派な演奏には違いなかったが、聴いていると、どうも何か肩が凝って来るような演奏で━━。
 アンコールでのモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」第1楽章は、前半のプログラムと同様、レコーディングの対象外だったようである。すると、演奏にも再び素晴らしい活気と解放感があふれはじめたのであった。
 
 今回の声楽ソリストとして登場したのは、バイエルン州立歌劇場専属の中村恵理である。
 彼女の素晴らしさについては、私はこれまで何度も絶賛して来た。一昨年そのミュンヘンで聴いた「ラ・チェネレントラ」のクロリンダと、「ニーベルングの指環」のヴォークリンデでの見事な歌唱と演技に驚嘆したあまり、その後東京で行われた彼女のリサイタルのチラシには、欣んで一文を書いたほどである。
 今日も、その正確で些かも崩れぬ音程と、芯の強い表現力によるモーツァルトは、実に聴きごたえがあった。

 日本で彼女のオペラのステージになかなか接することができないのは残念である。それは、バイエルン州立歌劇場との専属契約の問題があるためとも聞く。とはいえ、ドイツ最高の歌劇場で活躍できるというのは彼女にとってもベストなことであろう。そういう意味では、日本での私たちは、当面はせめてリサイタルで我慢しなければなるまい。

コメント

中村恵理さん

本当に中村恵理さんは素晴らしいと思います。新国立劇場に出ていた頃から逸材だと思いましたが、バイエルン州立歌劇場に移って、その活躍ぶりは頼もしい限りです。私は「ドン・ジョヴァンニ」のツェルリーナを聴きました(指揮はケント・ナガノでした)。若い歌手たちが集まって渦を巻くような熱気の中で、中村恵理さんも立派にその一翼を担っていました。

びわ湖では落成の頃 演奏しました。演奏、客席においても良いアコースティックで音圧があり含み音にも音楽性を感じました。大きさも程好い♪

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