2020-04

7・24(木)アラン・ブリバエフ指揮日本センチュリー交響楽団

 ザ・シンフォニーホール  7時

 首席指揮者・小泉和裕、首席客演指揮者・沼尻竜典という体制のあとを受け、今年4月からは飯森範親とアラン・ブリバエフがそれぞれポストを継いだ日本センチュリー響。

 飯森の就任記念演奏会(ブラームス)は4月に聴いたが、今回は首席客演指揮者アラン・ブリバエフの就任記念定期だ。ブリバエフは、カザフスタン生まれの35歳。ダブリンのRTE国立響首席指揮者を務めている。わが国のオーケストラにはすでに何度も客演している人だが、私はナマで聴くのはこれが初めてである。

 プログラムは、レスピーギの「鳥」、デリク・ブルジョワの「トロンボーン協奏曲Op.114」(ソリストはイアン・バウスフィールド)、シベリウスの「トゥオネラの白鳥」、ラヴェルの「マ・メール・ロワ」という、すこぶるユニークなものであった。一見突飛な選曲のようにも見えるが、「マ・メール・ロワ」は英語では「マザー・グース」、つまり「鵞鳥母さん」だから、今日のプログラムのテーマは「鳥」ということになるのだろう。

 指揮者の大いなる意欲がうかがえるプログラムだが、しかし、なんとも難しい曲を選んだものである。こういう、「鳥」とか「マ・メール・ロワ」といったような洒落たセンスを備えた曲になると、日本のオケは━━失礼ながら━━なかなかその味はうまく出せないことが多く・・・・。
 この日も、「マ・メール・ロワ」の方はそれなりにまとまった演奏にはなっていたものの、それでも作品特有の精妙な楽器の絡み合いや、詩的で甘美な情感を描き出すには、少々堅苦しいところがあった。

 冒頭の「鳥」では、まだ指揮者とオケとの呼吸が合っていなかったのか、「前奏曲」や「めんどり」がえらく闘争的に描かれていたのは解釈の一つなのかもしれないけれども、「夜鶯」のように木管群が精妙なバランスでニュアンス豊かに交錯する曲となると、アンサンブルにも更なる精度が求められるだろう。フルートがもう少し明確に浮き出し、ファゴットが背景を安定したリズムで彩るという具合になっていれば・・・・と思われる。もっとも、ホルンは、今日は素晴らしかった。
 「トゥオネラの白鳥」は、シリアスな雰囲気をあふれさせた作品だから、まず問題(?)はない。いいソロを吹いたイングリッシュ・ホルンの奏者の名は、やはりプログラムの曲目表にもクレジットしてあげた方がよかったのではないだろうか。

 英国の作曲家ブルジョワ(1941~)の「トロンボーン協奏曲」は、1989年のロンドンにおけるトロンボーン・フェスティバルで、クリスティアン・リンドベルイが吹くために作曲されたものの由(服部智行氏の解説文による)。冒頭の一節を聴いただけで、いかにも英国だな、という雰囲気を感じさせる曲だ。民謡風の温かい情感を持った個所もあり、技巧を駆使して昂揚に追い込んで行く個所もあり、何とも気持のいい協奏曲である。ソリストのバウスフィールドも英国生まれ、写真で見れば謹厳な風貌ながら、ステージではノリのいい身振りで吹きまくる、これまた実に楽しい雰囲気であった。

 この日のプログラムのうち、この協奏曲の演奏だけが最も熱狂的な拍手を呼んだというのは、曲の性格と、ソリストの力量などからいって無理もないかもしれないが、新任の首席客演指揮者にとっては、少々気の毒と言えぬこともない。
 しかし、日本センチュリー響とブリバエフとの協同作業は、これから実を結んで行くだろう。ブリバエフは、10月にもいずみホールでのコンサートで振る。

コメント

仙台在住時に聴いた仙フィル定期が鮮烈にして痛快でした。プロコ3つのオレンジへの恋、ヴァスクス「声」、ボロディン2番というプログラム。あの街での忘れられない演奏会の一つです。

この指揮者の今までの定期演奏(ボロデン2番他)を聞いているので東条さんのコメント興味深いです。能力の高い好感の持てる指揮者で団員の支持も高いようです、プログラムも魅力的。
このオケ真摯で楷書的な演奏をします。前指揮者陣もどちらかといえばそれに沿った指揮でその点がものたりなかった面でした。
ですから今後の新しい指揮者陣に期待します。この意味で昨年の12月定期でのヘスス.ロボス=コボスが指揮したレスピーギ、ファリア「三角帽子」は融通無碍の境地に達したこの人とオケとの名演でした。
それと客員の団員がプログラムに載ってていないのはプログラムがいずみ定期と共用のための処置のようで改善すべきでしょう。(西宮のオケではそれぞれの演奏会で別々に団員表示をしています。)確かに「トウネラの白鳥」のイングリッシュホルンは特筆ものでした。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/1967-a121e7cc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

お知らせ

●2007年7月以前のArchivesを順次、アップロード中です。併せてご覧下さい。
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月
2006年8月
2006年7月

Category

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」