2017-10

7・10(木)山田和樹指揮スイス・ロマンド管弦楽団

     東京芸術劇場コンサートホール  7時

 都民劇場公演。台風が間近に迫ってきているにもかかわらず、高齢者会員の多い客席は満杯。熟年パワーは凄い。

 今日のプログラムは、オネゲルの「パシフィック231」、藤倉大の「Rare Gravity」再演、ビゼーの「アルルの女」から4曲(「前奏曲」「アダージェット」「メヌエット」「ファランドール」)、休憩後にリムスキー=コルサコフの「シェエラザード」というもの。
 アンコールにはシュレーカーの「マドリガル」と、コルンゴルトの「シュトラウシアーナ」が演奏された━━珍しい曲をやるものである。

 「パシフィック231」は、先日もフルシャと東京都響の演奏で聴いたばかりだが、描写音楽的な演出という点では、どうやら山田和樹の方に、一日の長がありそうだ。「機関車の加速」も雰囲気が出ていてスムースだし、「怪物の突進」というエネルギー感などもよく備わっている。いい意味での芝居気やハッタリももち合わせているところにも、山田和樹の指揮の面白さがあるだろう。

 その意味では「シェエラザード」も同様で、特に第3楽章「若き王子と王女」では遅いテンポで濃厚にオーケストラを歌わせ、一転して第4楽章の「海」や「難破」の個所では大音響を轟かせて大見得を切った。全曲の演奏時間はほぼ50分というテンポの遅さで、相変わらず凝った、濃い表情の音楽づくりである。
 ただ、全曲を引き締める統一感という面では、一昨日の「幻想」と同様、今一つの感もなくはない。小曲の場合にはあんなに見事に発揮される山田和樹の機知に富んだ個性が、大曲でも同じにように生きるには、オーケストラとの呼吸がさらに完璧に合うことと、彼の円熟とを待つ必要があろう。
 「アルルの女」の方は、ワイルドなくらいに元気な演奏となり、オケの鳴らし方の巧さをも感じさせる。

 カーテンコールでは、楽員たちに客席へ手を振らせたり、最後に全員で客席に一礼させたり、演奏以外での山田のパフォーマンスもなかなかのものである。演奏から聴かれるオーケストラの制御も好調だし、ステージ上での楽員との交流の光景もなかなかいい━━となれば、雰囲気の上では、はや首席指揮者(?)の感か。

 それにしても、先輩・大野和士が率いて来たリヨン・オペラの素晴らしい上演とともに、欧州における日本人指揮者の活躍ぶりが「そのままの形で」相前後して━━私にとっては3日連続という形だが━━日本で体験できたのは、本当にうれしいことであった。

コメント

明晰

サントリホ-ルでの収録はモヤモヤした響きになり勝ちだがスイスロマンド管は透明感と中高域の明晰さが際立ち素晴らしい。
山田氏は技術的に安定し楽員も演奏しやすいだろう♪

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