2020-07

7・1(火)ルネ・コロが歌うシューベルトの「冬の旅」

  紀尾井ホール  7時

 一代の名テナー、ルネ・コロの「さよなら世界ツアー」と銘打たれているが、この種のものの常として、ご本人は「まだ引退なんかせんよ」とか意気盛んなる由(ドイツからの情報による)。
 ともあれ、御年77歳。これだけ歌えるのは、ただもうご立派というしかない。バリトンの音域で歌っていながら、声質は見事にテナーであるというところも凄い。

 ルネ・コロが歌うシューベルトの「冬の旅」といえば、2003年にレコーディングされた━━それが彼の最初の歌曲アルバムだったが━━「新解釈」による歌唱が印象に残っている。それは失恋した若者が怒りに燃え、早足で恋人の家を去って行くという解釈のもとに、猛烈に速いテンポで歌い始められる「冬の旅」だった(エームズ・クラシック OC-904)。

 だが今回の来日公演では、テンポこそやや速めではあったものの、そういう大胆なアプローチではなかった。ではどういう解釈だったかというと、今のところ私にもしかとは解らない。ただ、以前のCDにおけるものよりはずっと落ち着いた感情の歌唱に変わり、比較的ストレートに歌われ、しかもあまり厭世的にならず、行く道の彼方には新しい希望が垣間見えるといったような・・・・つまり若い、温かい感情をも湛えた「冬の旅」だった、ということにでもなろうか。

 とにかく、声の衰えのことを言い出したら、どうしようもない。歌い方にも独特の癖がある。だが、ルネ・コロの全盛期のあの見事なジークフリートやトリスタン、タンホイザー、ローエングリンに魅了されていた私たちの世代からすれば、ルネ・コロは、やはり今でもあのルネ・コロなのである。
 そんな感情は、ファンのそれであって、批評家のそれではない━━と言われればその通りだが、理屈通りには行かぬものである。

 なおアンコールが1曲、シューベルトの「夕映えの中で」が歌われた。申し遅れたが、ピアノの協演はミヒャエル・ベルター。

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