2019-07

6・13(金)飯守泰次郎指揮関西フィルハーモニー管弦楽団定期
ワーグナー:「ジークフリート」第3幕(演奏会形式)

    ザ・シンフォニーホール  7時

 「飯守&関西フィル オペラ演奏会形式上演シリーズ第13回」。

 もともとワーグナーが「13」なる数字に縁が深い━━1813年生まれ、作ったオペラが13曲、その13番目のオペラ「パルジファル」を完成して13か月後の2月13日に他界、「ニーベルングの指環」バイロイト初演が8月13日、RICHARD WAGNERの名前の綴りが13文字、その他諸々━━ゆえに、今回は数字合わせをしたのかと思っていた。
 だが、演奏会の日が13日の金曜日だったのがやはり祟りを呼んだのか、ジークフリート役に予定されていたテノールの竹田昌弘が体調を崩し、直前に降板してしまった。彼はこれまでパルジファル、トリスタン、ジークムント、ジークフリートなどで快演を聴かせて来た人だから、実に残念である。

 「日本でこの役を歌える人は少ないし、まして1週間前にいきなり言われても準備が」(飯守氏のプレトークから)というわけで、これまでのワーグナー・シリーズの「日本人歌手路線」を覆し、急遽招いたのが、ジャンルカ・ザンピエーリというイタリア人歌手。
 彼は飛行機で着いてすぐピアノ・リハーサル、オケ合わせも1回やっただけですぐ本番、とかいう慌しさだったそうである。

 他には、畑田弘美(ブリュンヒルデ)、片桐直樹(さすらい人)、竹本節子(エルダ)という、いずれも飯守&関西フィルのワーグナー路線にはおなじみの人たちが出演。ステージ前方に位置し、譜面を見ながら歌った。

 飯守泰次郎のワーグナーは、いつもと同様、感情のこもった滋味ある音楽である。ただ、今日は多少違う雰囲気だなと思わせたのは、まず響きがやや軽く、しかも薄く、全体に音楽が抑制気味だったことか。
 第3幕の音楽の性格ゆえに、演奏にもおのずから大きな起伏は生まれていたが、歌手たちの声を浮かび上がらせるために、分厚く嵐のようなうねりを持つオーケストラの響きをも多少妥協せざるを得なかったのかな、と思われる。

 もう一つは、ブリュンヒルデを、異様なほど叙情的に表現したことだろう。畑田の声がもともと柔らかいためそうなったのか、初めからその意図だったのかは定かでないけれども、彼女の歌は弱音で、レガートで、テンポをやや落とし気味に(そう聞こえた)、終始落ち着いた表現にされていた。このため、情熱的で劇的な最後の二重唱の部分においてさえ、ブリュンヒルデがえらく穏やかで優しく描き出されてしまった。だがこれは、このドラマの性格からすると、必ずしも当を得ているとは言えないだろう。音楽的にもそこだけ盛り上がらないから、聴いていると少々もどかしい。とはいえ、興味深いスタイルではある。

 助っ人ザンピエーリは、適度の演技も交え、元気よく歌った。細部の仕上げなど物足りぬところがあったのはもちろんだが、とにかく、急な代役をよく果たしてくれたと言うべきであろう。片桐は、以前に比べて声が軽くなったか? 竹本はいつも通りの貫録である。

 関西フィルは、たしかに、健闘はしただろう。細部のアンサンブルにはかなり課題が残るけれども、大規模な曲ゆえにトラ(客員)を多数入れた編成の演奏では、まずこんなところだろうか。
 しかし、以前の「トリスタンとイゾルデ」(第2幕)や「ヴァルキューレ」(第3幕)、「ジークフリート」(第1幕)の時に比べると、合奏の緊密性という点で、今回はかなり不満が残る演奏だったことは、事実である。もう少し引き締まった演奏を期待したい。ステージ上の楽員たちの表情に余り熱気のようなものが感じられないのも気になった。

コメント

しがらみがおありのようで

ずいぶんとブリュンヒルデとウォータンに甘い批評とお見受けいたします。私にはあまりに役者不足だったと感じました。
もっと歌える方は日本人にもいらっしゃるでしょうに。
ジークフリートだけに救われた公演だったのではないでしょうか。関西フィルもプロなんだから意地を見せて欲しかったが残念です。実力は同程度でしょうがオーケストラルオベラでのシティは意地を見せてくれました。

東条氏は,自身が受け持ったパンフレット(プログラム)の公演においても,また自身が一層深く関わった公演においても,言うべきことは言ってきている.当方,当公演を聴いていないが,東条氏の姿勢に今回も変わりはないであろう.
ご自身の意見と大きく違ったからと言って,そのような物言いは非礼千万.
なお,ほぼ毎日個人ブログを更新している大阪の某評論家は,それを明け透けにやっていることは付言しておく.ブログの底流にあるは,第一線の評論家/学者/ライターに対する妬み恨みを単に漏らすだけ.

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