2019-05

6・3(火)METライブビューイング
ロッシーニ:「ラ・チェネレントラ」

    東劇  1時30分

 5月10日のメトロポリタン・オペラ上演ライヴ映像。これが2013~14シーズンの最終日であり、最終のマチネーだった。
 ジョイス・ディドナートとファン・ディエゴ・フローレスが共演、指揮がファビオ・ルイージとなれば、もう文句ない。

 ジョイス・ディドナートといえば、今日チェネレントラ役として屈指の存在たるメゾ・ソプラノだ。
 一昨年のミュンヘン・オペラフェスティバルで彼女がこれを歌うというので、楽しみにして出かけて行ったのだが、あいにく咽喉の調子が悪いとアナウンスがあり、かなりセーヴして歌うという出来事があった(2012年7月12日の項)。
 それに比べれば今回のMET公演は、非の打ちどころない歌唱で、やっと彼女のチェネレントラの本領に接することができたわけだ。しかし、幕間のインタビューによると、彼女は今回で(つまりこの日、ということなのか)この役を最後にするのだという。「もう潮時でしょう」と語っていた。失望落胆。彼女のこの役の完璧な舞台にナマで接する機会を、遂に失う。
 その意味でも、この映像は貴重と言わねばならぬ。第2幕の幕切れを華麗に決めた時には、客席も沸騰していた。

 王子を歌い演じたファン・ディエゴ・フローレスの方は、これはもう見事というほかなく、最高音を何度も鮮やかに決める。第2幕のアリアのあとでは、客席がどよめいて沸き、彼も舞台に呼び戻されていたほどである。

 もうひとり良かったのは、強欲親父ドン・マニフィコを歌った、市村正親そっくりの風貌のアレッサンドロ・コルベッリ。彼も一昨年ミュンヘンで観た時よりもずっとねちっこく、凄みのある悪役ぶりを発揮していた。
 他にピエトロ・スパニョーリ(王子の従者ダンディーニ)、ルカ・ピザローニ(王子の家庭教師アリドーロ)、ラシェル・ダーキン(意地悪な姉クロリンダ)、パトリシア・リスリー(同ティスベ)ら、みんな芸達者に、しかも手堅く舞台をまとめている。

 演出はチェーザレ・リエーヴィで、もちろんストレート路線だが、ちょっぴり幻想的で、少しドタバタで、少しほんのりした、愉しいプロダクションであった。何より、ロッシーニの音楽がいいから、面白い。

 ファビオ・ルイージは、インタビューによると、何でもこのオペラを初めて振ったとかいうことだが(私の聞き間違いか?)追い上げ、たたみこみ、カンタービレなど、すこぶる見事なものだった。ドイツものを振ると全然メリハリの無い人だが、さすがにイタリアものは堂に入っている。

 案内役は久しぶりにデボラ・ヴォイト。とにかく陽気で、話の引き出し方はもちろん、相手の長い話を切り上げる手法など、当意即妙、コミカルで巧い(下手な案内役の歌手さんも時々いますからな)。
 上映時間3時間24分。

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