2017-10

2・18(火)ロビン・ティチアーティ指揮スコティッシュ・チェンバー・オーケストラ

    サントリーホール  7時

 スコティッシュ・チェンバー・オーケストラ(1974年創立)の首席指揮者を2009年のシーズンから務める30歳の若手ティチアーティ。
 今年1月からはグラインドボーン音楽祭の音楽監督も務めるようになったという。ついにそこまでになったか、と・・・・個人的な付き合いはないけれども、何となくうれしくなる。

 今夜のプログラムは、メンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」、ショパンの「ピアノ協奏曲第2番」(ソロはマリア・ジョアン・ピリス)、ベートーヴェンの「交響曲第5番」。

 「フィンガルの洞窟(ヘブリディス)」をアタマに持って来るとは一風変わったプログラムだが、なるほどこれはスコットランドの御当地ものだった、と納得。
 弦は8・6・4・4・3の編成で、ホルンとトランペットはピリオド楽器を使用、そよ風のように軽やかな響きで「海の光景」を描いて行くという風変りな解釈を聴かせた。轟く波の個所でティンパニを1か所だけ狂ったような大音響で叩かせたあたりも、最近の欧州系の若手指揮者がやりたがる「人とは違う独特のスコア読み」の一つだろう。

 同じティンパニの突然の豪打はベートーヴェンの「5番」においても第1楽章再現部の冒頭で採られていたが、とにかく全曲でそこ1か所だけ、というのは、あまりに異質だ。
 しかし、このピリオド楽器スタイルの演奏による「5番」でティチアーティがつくり出している独自のさまざまなアイディア――第2楽章で主題を波打つように揺り動かして響かせたり、第4楽章再現部直前で木管楽器群の音色を滑るように変えて行ったり、コーダに入る直前の個所での断続和音の長さを一つおきに変えたりするテはなかなか面白く、やるねえ、という感を抱かせた。
 なお「5番」の第3楽章でリピートを行なう「禁じ手」(?)の演奏は、ナマでは久しぶりに聴いたが、やはりこの楽章はこれでこそ独自の存在感を主張できるのではないか、と思われる。

 ショパンの協奏曲は、何と言ってもマリア・ジョアン・ピリスの演奏がすべて。ヤマハのピアノを使ってのこの独特の音色――明晰で透明で清楚で気品に満ちた音色、演奏にあふれる温かい情感、毅然とした風格と完璧な造型は、彼女ならではのものだ。
 ソロ・アンコールで聴かせたショパンの「ノクターン ロ長調作品9の3」の素晴らしさたるや筆舌に尽くしがたく、彼女のショパンの「ノクターン」を聴くためなら世界中どこへでもついて行きたいとまで思ってしまうほどである。

 ティチアーティとオーケストラのアンコール曲は、モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲だったが、これはベートーヴェンとは打って変わって「重い音色」の演奏。

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