4・12(土)準・メルクル指揮NHK交響楽団
「トゥランガリラ交響曲」
NHKホール(マチネー)
N響の「虎狩り交響曲」、いや「トゥランガリラ交響曲」といえば、私以上の世代ならすぐ思い出すのは、あの1962年の夏、若き気鋭の小澤征爾の指揮で行われた日本初演の演奏会である。
あれは、本当にわが国音楽界の一大事件だった。東京文化会館での本番は、一つの楽章が終るごとに大拍手が起こるというフィーバーぶりだったが、何しろ当時はまだ「超現代音楽」だったこの作品のこと、演奏する方も聴く方も文字通り気負った必死の精神状態にあったといっていいかもしれない。
あれから幾星霜、今やこの曲もすっかり古典の仲間入りをしてしまった感がある。
メルクルのもと、N響はこの曲を、何とさり気なく美しく、いとも易々と演奏して見せたことであろう。オーケストラはいささかの破綻もなく、ほとんど完璧ともいえるほどのバランスを保っていた。さすがN響、ひとたび本気になれば難曲すらかくの如し、といった立派な演奏であったが、その代わり、この曲について回るスリリングな興奮もあまり感じさせない演奏で、「星の血の喜び」での絶叫の中の法悦も、続く「愛の眠りの園」での危うい陶酔も、ともに思いがけずあっさりと通り過ぎてしまった。第10楽章の大詰めでも同様、坩堝の深淵に投げ込まれるような興奮とはだいぶ距離があったようである(ただ、これがNHKホールでなかったとしたら、もう少し異なった印象を得たかもしれない)。
なお、ピアノはピエール=ロラン・エマール、オンド・マルトノは原田節。
準・メルクルは、7月にもこの曲を、札幌のPMFオーケストラを指揮して取り上げる。
N響の「虎狩り交響曲」、いや「トゥランガリラ交響曲」といえば、私以上の世代ならすぐ思い出すのは、あの1962年の夏、若き気鋭の小澤征爾の指揮で行われた日本初演の演奏会である。
あれは、本当にわが国音楽界の一大事件だった。東京文化会館での本番は、一つの楽章が終るごとに大拍手が起こるというフィーバーぶりだったが、何しろ当時はまだ「超現代音楽」だったこの作品のこと、演奏する方も聴く方も文字通り気負った必死の精神状態にあったといっていいかもしれない。
あれから幾星霜、今やこの曲もすっかり古典の仲間入りをしてしまった感がある。
メルクルのもと、N響はこの曲を、何とさり気なく美しく、いとも易々と演奏して見せたことであろう。オーケストラはいささかの破綻もなく、ほとんど完璧ともいえるほどのバランスを保っていた。さすがN響、ひとたび本気になれば難曲すらかくの如し、といった立派な演奏であったが、その代わり、この曲について回るスリリングな興奮もあまり感じさせない演奏で、「星の血の喜び」での絶叫の中の法悦も、続く「愛の眠りの園」での危うい陶酔も、ともに思いがけずあっさりと通り過ぎてしまった。第10楽章の大詰めでも同様、坩堝の深淵に投げ込まれるような興奮とはだいぶ距離があったようである(ただ、これがNHKホールでなかったとしたら、もう少し異なった印象を得たかもしれない)。
なお、ピアノはピエール=ロラン・エマール、オンド・マルトノは原田節。
準・メルクルは、7月にもこの曲を、札幌のPMFオーケストラを指揮して取り上げる。
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