2019-08

11・28(木)パーヴォ・ヤルヴィ指揮の「フィデリオ」(演奏会形式)

   横浜みなとみらいホール  7時

 パーヴォ・ヤルヴィがドイツ・カンマーフィル・ブレーメンを指揮したベートーヴェンのオペラ「フィデリオ」。
 歌手陣は、ブルクハルト・フリッツ(囚人フロレスタン)、エミリー・マギー(その妻レオノーレ)、ディミトリー・イヴァシュチェンコ(牢番ロッコ)、ゴルダ・シュルツ(その娘マルツェリーネ)、ユリアン・プレガルディエン(刑務所員ヤキーノ)、トム・フォックス(刑務所長ドン・ピツァロ)、デトレフ・ロート(大臣ドン・フェルナンド)。合唱は東京音楽大学合唱団。ナレーターがヴォルフ・カーラー。

 演奏会形式とあれば、変な演出に煩わされることなく、音楽に没頭できるというのが有難い。
 ただし演奏会形式とは言っても、舞台前面に位置するソロ歌手たちと、後方に並ぶ合唱団は、ある程度の演技もしくは身振りを行なう。合唱団まで演技に加わっていたのには感心。

 今回の上演の最大の特徴は、素のセリフ部分はすべてカットされ、代わりにナレーターが入り、その朗読で物語を進めて行くところにあるだろう。
 この種の形の上演は、以前、1996年のザルツブルク音楽祭でのガーディナー指揮によるオリジナル版「レオノーレ」の演奏の際に、クリストフ・バンツァーの台本と朗読により行われたのを聴いたことがある(あの演奏は素晴らしかった!)。
 だが今回は、登場人物のひとりロッコが数年後にこの事件を回想するという形で進められて行く。そのナレーションのテキストは、ドイツの文学者ヴァルター・イェンツによる1985年刊行の著書から採ったもの(舩木篤也氏のプログラム解説による)とのこと。
 朗読は名調子だし、テキストの内容も興味深いが、ただ難点は、些か話がくどくて長いことですね。正直なところ、もういいから、早く次の音楽を聴きたいよ、と感じたことも一度や二度ではない・・・・。

 やはり音楽面では、パーヴォの指揮が素晴らしい。小編成のドイツ・カンマーフィルを鮮やかに制御し、歯切れよく畳み込んで劇的な展開をつくり、しかも抒情的な個所では、このコンビがと思うほどの柔らかい豊麗な音で歌を包み込む。第2幕冒頭の地下牢の場面では、くぐもった暗い響きで暗鬱さを描き出した。ピリオド楽器奏法のオーケストラがここまで多彩で雄弁な表現をするとは、驚異的だ。

 ソリストは名の通った歌手が多く、それなりに手堅いところを聴かせたが、テンポの速さと、会場の音響や立ち位置などの点で初日の今日は慣れなかったのか、若干せせこましい(?)感じの歌唱もなくはなかった。歌手みんなが暗譜で歌う中で、エミリー・マギーだけが楽譜を手放さなかったのは少々意外であった。
 音大の合唱団は、それほど多くない人数にもかかわらず、強大なパワーを発揮していた。
 9時35分に演奏終了。
    ⇒モーストリー・クラシック3月号 Reviews

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