2020-01

11・2(土)インバル=都響のマーラー「6番」

   横浜みなとみらいホール  3時

 エリアフ・インバルが東京都交響楽団を指揮して展開中のマーラー・ツィクルスは、この11月に「6番」「7番」を取り上げ、以下来年3月の「8番」「9番」、7月の「10番」と進む予定。

 快演が続くこのツィクルスだが、今日の「第6番《悲劇的》」も、寸分も隙なく堅固に構築された、いかにも近年のインバルの指揮の特徴を集約したような見事な演奏だった。
 下手をすれば野放図な咆哮になりかねないこの作品を、インバルは明確な均衡を備えた形式感を最後まで失わずに押し通す。

 もちろんそれは、いつかのブルックナーの「第6交響曲」などで聴かせたような厳しい禁欲的な音楽ではなく、ある程度の自由さを感じさせるものだ。
 だが、インバルのように、マーラーのある種の破天荒な分裂症的特徴を充分に表出しつつ、音楽上の統一感を保たせるという大技を創り出せる指揮者は、やはり稀有の存在と言っていいのではなかろうか。

 そういう素晴らしい演奏だっただけに、トランペットの第1楽章での聴かせどころでの一度ならずの事故は痛かったが、力一杯吹いて音を外すというタイプのミスではなかったところからすると、体調でも悪かったのか? 
 当の奏者も、カーテンコールの時には傍目にもそれと判るほど落ち込んでいた様子だったから、ここは次回に期待することにしよう。人間のやることである。そんなにがっくりする必要はない。

 むしろそれより、全曲終了まであと30小節たらず、1分たらずという弱音のさなかに席を立ち、靴音を立てて出て行った男と、最後の音が消えた途端にけたたましく喚いた男の方が、罪は遥かに重いだろう。
 そういえば、先日のBBC響の「ロンドン交響曲」の時にも、まさに終らんとする個所の最弱音のさなかに足音を立てて出て行った2人づれがいたが、あれもこの同じ、みなとみらいホール・・・・。

コメント

主催者側の問題も・・・

現代人は大人も子供も、もはや間接的な言い回しでは通用しないのかもしれません。「演奏中に外に出ると席に戻れません」というアナウンスでは「席を立ってもいい」と言っているようなもの。演奏中に音をたてることは周りの迷惑になります、とはっきり言ったほうがいいと思います。フライング拍手やフライングブラーヴォも同様です。

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すばらしい演奏でした

2-3日の両日行きました。東条さんのおっしゃる「破天荒な分裂症的特徴を充分に表出しつつ、音楽上の統一感を保たせる」、全くその通りですね。この人のキャリアや人柄、才能のなせる業なのでしょうか?特に交響曲5番以降は、その感が強いように感じます。
特に3楽章!交響曲4番の緩徐楽章をアンリ・ルイ・ド・ラ・グランジュが「(バーンシュタインと違う)偉大な激しさ」と評しましたが、この6番の3楽章も4番以上に素晴らしかった!インバルも相当唸っていましたね。
来週はインバル十八番の交響曲第7番ですね!インバルが昔、デンオンから出た7番交響曲のLDの冒頭のインタビューで「(交響曲第七番は)歪んだ鏡」と評していましたが、今週末の7番は、マーラーの分裂的性格を確りと描き分けた名演になるのでは!と、今から期待しています。。
最後の観客の件も同感です。残念としかいいようがありません。私はちょうど彼らの後ろの通路沿いに座って、全て見ていました。3-4楽章で、途中退場は合計で3人、最後にはフライングブラボーでした。どうもみなとみらいの3~4列目に、問題の人たちがいたようです。全て3-4列目でした。あの辺りだけ、場違いの人が集中していたように思います。マーラーチクルスのターニングポイントともいうべき、一番良いところで、こんなことをやられるとは。。。。。招待客の列か何かなのでしたら、みなとみらいホールの運営には猛省を促したいと思います。
その点、3日の芸術劇場は、横浜のアクシデントが全て無く、インバルも2日目で更に踏み込んだ表現で、更に良かったです(最も、フライングブラボーを警戒してか、インバルが最後すぐにタクトを下ろしてしまったのは残念でしたが)。

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