2019-11

10・31(木)イルジ・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィル

   サントリーホール  7時

 昨年、イルジ・ビエロフラーヴェクが20年ぶりに首席指揮者に復帰した。今回はそれ以降初めての帯同来日になる。

 何せチェコ・フィルは、ヴァーツラフ・ノイマンのあと、およそ20年の間に6人もの首席指揮者が入れ替わるという、ヨーロッパの名門としては珍しいほど指揮者との相性が不安定なオーケストラになっていたが・・・・今度こそ安定コンビに戻ることができるか?
 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団はやはり、チェコの指揮者のもとで演奏してこそ、その本来の味を出すオケだろうと思う。その意味でも、既に60歳代後半となった円熟期のビエロフラーヴェクに期待するところ大なのだが。

 今夜の演奏を聴いた範囲では、オーケストラの音色にしっとりと瑞々しい、良き伝統ともいうべき品のいい地方色が蘇っていたことは確かであろう(先年のズデニェク・マカルの首席時代にもそれに近い音色が復活させられていたが)。特に弦楽器群の音色にそれが目覚ましい。この雰囲気はチェコのオケならではのもの。世界中のオケがおしなべてインターナショナルな特質に変化してしまっている現代にあって、こういうローカル色は貴重だ。いつまでも守り抜いて欲しいものである。

 ただ、それはいいのだが、演奏そのものは、要するに「無難な出来」だ。
 冒頭のグリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲が、思いのほか柔らかく穏健な表情で始まったので、これはもしかしたらユニークなアプローチになるかなと一瞬期待したのだが、その後はさほど閃きもないままに終ってしまった。
 最後のチャイコフスキーの「悲愴交響曲」も、いわゆる手堅い演奏で、第4楽章での盛り上げの個所には良い緊迫感も聴かれたが、全体としてはごく平均的な出来で、心を揺り動かされる迫真性には乏しい。ビエロフラーヴェクの「新しい面」は、これらの演奏からは特に感じられなかったというのが正直な印象である。アンコールの1曲目、ドヴォルジャークの「スラヴ舞曲 作品46-3」では、さすがにハッとするような深い郷愁の情感が滲み出てはいたけれど。

 結局、第1部の2曲目に演奏されたベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲」での、イザベル・ファウストの鮮やかなソロおよびカデンツァが今夜の白眉だったといえようか。ビエロフラーヴェクのサポートも、特に第3楽章での流れるようなテンポ運びは快かった。

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