2019-11

10・29(火)新国立劇場 モーツァルト:「フィガロの結婚」

   新国立劇場  2時

 ちょうど10年前の10月、ノヴォラツスキー芸術監督就任シーズンの第1作として上演されたのが、このアンドレアス・ホモキ演出によるプロダクションだった。ザルツブルクあたりで観るような雰囲気をもった舞台として、当時、随分新鮮に感じられ、話題になったものである。
 それ以降、新国立劇場の定番として、何シーズンかおきに上演されて来ている。

 「段ボール箱の積み重ね」には、賛否両論があった。だが、登場人物たちが生き生きと交錯するシンプルな空間(家)と、その空間が第2幕フィナーレのアンサンブルの中で崩壊し歪み、ついに最後まで旧に戻らぬという、「歴史からの解放」の面白さは、今見ても新鮮さを失っていないだろう。また、主人と召使の区別も消滅する、ということを象徴した第4幕での男たちの全員同一の衣装(シャツとステテコに見えるのはどうかと思うが・・・・特に日本人歌手の場合)も、アイディアとしては悪くない。

 今回は、10年前のプレミエ時と同じウルフ・シルマーが登場して、東京フィルを指揮した。一気呵成にたたみかける速いテンポは、時に素っ気ないほどだが、しかしやたら緩急を強調し、登場人物の心理的な動きを誇張して描く最近の一部の指揮者のそれに比べれば、むしろモーツァルトの疾走する音楽の美しさをストレートに描き出すという良さがあるだろう。私には、こういう速いテンポで押して行く指揮の方が、ずっと好みに合う。

 東京フィルはこの飛び行くテンポについて行けぬ時もあったようだし、前半での金管の頼りなさは相変わらず情けないが、全体としては弾んだ演奏の個所も多かった。「恋とはどんなものかしら」での木管の動き(少し飛び出し気味ではあったものの)などもなかなか良かった。

 歌手陣はやや渋く、一部には不安定な歌唱も聞かれないでもなかった。何しろモーツァルトの音楽は、そうした歌手の一寸した未熟さ、不安定さをモロに露呈させてしまうから、これほど恐ろしいものは無い。

 演技の面では、九嶋香奈枝(スザンナ)が、プレミエ時の中嶋彰子にそっくりの悪賢い小妖精といったアクの強い表情を見せ、気を吐いていた。
 顔の表情の豊かなレナ・ベルキナ(ケルビーノ)、本当に女の子という感じを出した吉原圭子(バルバリーナ)、舞台狭しと動き回るレヴェンテ・モルナール(アルマヴィーヴァ伯爵)、おっとりした性格を巧く出したマンディ・フレドリヒ(伯爵夫人ロジーナ)たちも、それなりに工夫した演技を見せていた。が、もし今回もホモキが直接演出に携わっていたなら、更に精妙な人間模様を繰り広げることができただろうと思う。

 最大の問題は、肝心かなめの主人公たるマルコ・ヴィンコ(フィガロ)だ。常に客席に顔を向けて歌うという時代遅れのジェスチュアである。心理描写豊かなドラマに一種の隙間を作ってしまった責任は彼にあるだろう。
 他に竹本節子(マルチェリーナ)、松位浩(ドン・バルトロ)、大野光彦(ドン・バジリオ)、糸賀修平(ドン・クルツィオ)、志村文彦(アントニオ)ら。

コメント

浦島太郎予備軍

マルコ・ヴィンコ、まだ、その癖が抜けてないの。。。残念。ムスタファの時も、そうでしたよ。カサロヴァが相手なのに。。。

初演時の、キャストをなぜ、交流させないキャストを、いつもやるのかな。二国って。

今度、新国立競技場を作るそうだから、リフォームかなんかするそうだけど。

報道機関(インターネット上の)は、’新国立’と言い出したから、オリンピックのことがあるから。

今度から、’二国’と云うは。。だって、オリンピック優先だもん。段違いの国際的レベルの競技場。

’新国’、やっぱり’二国’でいい。スポーツ予算と文化予算の違い。

国民の関心事、優先です。

’二国’どうなるのだろうね。開場20周年。とその後、今、交渉契約を実らしていく時だけど、どうするのかね。

その頃、人ごみを避ける気持ち、がなくなったり、症状が安定したら、東京へ進出できたらいいね。

4年後、東京に出て行ったら、浦島太郎で、道に迷うだろうね。。。

今は、コンサートもオペラも、LIVEで生を聴きに行く気はありません。

インターネットで、間にあってます。海外のオペラにも行く気がないです。


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