2019-11

10・27(日)アレクサンドル・ラザレフ指揮日本フィル マーラー「9番」

    東京芸術劇場  2時30分

 横坂源をソリストに迎えたチャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」と、マーラーの「第9交響曲」を組み合わせたプログラム。日曜午後の演奏会ということもあって、客の入りも良い。
 マーラーの「9番」の前にチャイコフスキーの作品を置くとは、いかにもラザレフらしい曲目編成だが、もっともプログラム構成は必ずしも指揮者自身がやるとは限らないから、深読みは避けよう。

 とにかく、ラザレフが指揮するマーラーの交響曲は、私にとっては珍しい体験だ。予想通り、剛直で骨太で、激情を迸らせるマーラー像がつくり上げられていた。
 第1楽章や第3楽章などは、怒号絶叫するマーラーといった感で、それも神経質で苦悩に満ちた人間の感情発露ではなく、野人の怒りとでもいうような叫びである。それは激しくて喧噪的で、濃厚なマーラーだ。あまり一般的とは言えないアプローチだし、私の好みとも必ずしも一致しないけれども、現代ではこういう解釈のマーラーがあってもいいのかな、と思いながら聴いていた。

 アダージョの第4楽章ではさすがに抒情美が発揮されたが、それもこの楽章の演奏によくある諦念や彼岸的なものへの志向というタイプではなく、強靭な意志をなお持ち続けながら静かにその生を終って行く・・・・といった筋書を連想させるような演奏だろう。
 特に終結部では、長い長い静寂の中に流れ続ける弦が、無限の空間に拡がり行くような美しい響きを見事に出していたので、エンディングはすこぶる感動的なものだったと思う。この静寂の終結は、音が消えてからもラザレフがわずかに腕を動かす動作をずっと続けていたこともあり、ホール内にも長い沈黙が保たれ、成功であった(咳はだいぶ多かったけれど)。

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