2019-11

10・25(金)プーランク:「カルメル派修道女の対話」(演奏会形式上演)
矢崎彦太郎指揮東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

   東京オペラシティコンサートホール  6時

 首席客演指揮者の矢崎彦太郎がこのオケと続けて来た「フランス音楽の彩と翳」の第20回。地味ながら好評を以って迎えられて来たこのシリーズも、これで打ち止めになるということだが、折しもプーランク没後50年を記念する今年、首都圏では唯一の彼のオペラ上演ということもあって、大いに意義のある最終回とはなった。矢崎の功績を讃えたい。

 今夜の主な配役は、修道女ブランシュを浜田理恵、その兄ドゥ・ラ・フォルス侯爵を萩原潤、ドゥ・クロワシー修道院長を小林真理、リドワーヌ新・修道院長を半田美和子、マリー修道長を秦茂子、修道女コンスタンスをコロンえりか、司祭を与儀巧、他。この配役には、一部に兼役もある。合唱は東京シティ・フィル・コーア。

 演奏は極めて充実したもので、何といってもフランス音楽をライフワークとした感さえある矢崎彦太郎の、滋味ある音楽づくりが生きていただろう。シティ・フィルも今夜は概して引き締まった快演だった。
 歌手陣も安定していたが、特に落ち着きのある役柄マリー修道長の性格を生かした秦茂子の歌唱が光る。

 純然たる演奏会形式なので、とりわけ演技めいたものは少なかったが、ラストシーンで断頭台の露と消える16人の修道女たちが、オルガンの下の席に1列に起立して配置され、ギロチンの衝撃音(今回はタムタムの一撃音などによる「楽器的な」音)とともに1人ずつ椅子に座って行く、という手法が採られたことは当を得ていただろう。
 ただしその「演技」が、「音」と同時に崩折れる迫真的な動作をする歌手や、「音」のあとおもむろに着席して行くようなのんびりした動作をする歌手もいるといったようにまちまちだったのは、些か効果を欠いた。

 とにかく、これほど最初から最後まで暗い音楽で構成されたオペラも少ないだろう。最終場面はますます暗鬱になり、聴衆は(拍手は熱狂的にするものの)何となく滅入って劇場を出る、といったオペラである。
 わが国でもこれは何度か上演され、私もいくつか観て来たが、演奏会形式で聴くのは今回が最初だった。やはりこの形式だと、少々重い。その代り、プーランクのあの暗いハーモニーの魅力は、存分に堪能することができる。シティ・フィル、いい企画であった。

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