2019-11

10・18(金)ラザレフ指揮日本フィルのスクリャービン「神聖な詩」

   サントリーホール  7時

 プロコフィエフの交響曲からラフマニノフの交響曲へと進んで来たラザレフと日本フィルのロシアものツィクルスが、ついにスクリャービンに突入した――といっても、彼の交響曲をすぐに全曲演奏するとまではさすがに(?)行かぬようで、「ラザレフが刻むロシアの魂」というシリーズの中でゆっくりと時間をかけて取り上げて行く方針のようである。

 その1回目は第3番「神聖な詩」。
 予想通り、かなり激烈なイメージのスクリャービン像となった。第1楽章(闘争)の冒頭など、他の指揮者の演奏に聴かれるような、どこか官能的な色彩を籠めた響きと違って、もろに闘争的な咆哮になっていたところが、ラザレフらしいと言えば言えようか。

 もっとも今日は全体として――プログラム1曲目のチャイコフスキーの「眠りの森の美女」組曲からそのケがあったが――オーケストラが荒っぽくガシャガシャした音になる傾向があって、それが演奏を硬質で気負った、力任せのスクリャービンに感じさせてしまった原因ではなかろうか。特に最強奏の個所ではそれが著しかった。

 オーケストラの音色は第1楽章後半から少しずつまとまりを示しはじめ、第2楽章(快楽)ではかなり叙情的な色彩感を打ち出すことができた。だが、フィナーレ(神聖な遊び)では、やはり荒っぽく混濁した響きに陥る個所が多かった。
 日本フィルの演奏が、初日は大体荒っぽく、2日目は改善されるというのは今に始まったことではないが、いずれにせよスクリャービンの音楽には官能的な色彩感が不可欠なのだから(鋭くヒステリックに演奏されたら堪ったものではない)、もう少し豊麗、豊満な音色でやってもらったほうが有難い。

 なおプログラムの2曲目には、武満徹の「ウォーター・ドリーミング」が演奏され、日本フィル首席の真鍋恵子がソリストとして清澄なソロを聴かせてくれた。テンポは速めで、オーケストラの音色も武満ものにしては些か濃厚な趣きがあったが、これは外国人指揮者がやるタケミツものだから、ある意味では仕方ない。むしろそういう多様な表現が聴ける面白さに注目したいところだ。

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