2019-11

10・7(月)MET ベッリーニ:「ノルマ」

    メトロポリタン・オペラ  7時30分

 前日夕方ニューヨークに入る。

 この「ノルマ」は、レパートリー・プロダクションで、今シーズンは9回の上演が予定されており、今夜が3回目の上演である。
 だが、2001年制作にしては随分と旧態依然、古色蒼然たるプロダクションだ。演出(ジョン・コプレイ)も型通りで、ゴール人たち群衆はほとんど細かい演技をせず、巫女ノルマがどんな重大事を発表しても泰然として表情も変えないというタイプのものだから、端役まで微細な演技を繰り広げる近年の舞台を見慣れてしまっていると、単調この上ない印象になってしまう。
 おまけにリッカルド・フリッツァの指揮が、ただ演奏を進めるだけの平凡無策、実に退屈なシロモノである。オーケストラもあまり生気の感じられぬルーティン上演であった。

 タイトルロールの巫女ノルマは、ソンドラ・ラドヴァノフスキーが歌った。ビンビン響く大きな声で、METの巨大な空間をものともせずという馬力だが、悲しみも怒りも喜びもすべて同じ調子の硬質な声で歌うので、ノルマという複雑な性格を備えた役柄を演じるには、これも単調に感じられるのが惜しい。
 ローマの将軍ポリオーネを歌ったのはアレクサンドルス・アントネンコというテノールで、やや天下泰平な歌唱と演技の、いわば平均点といった出来だろう。

 むしろ私が注目していたのは、アダルジーザ役のケイト・アルドリッチだ。ザルツブルク音楽祭での「ベンヴェヌート・チェッリーニ」や、ベルリン・ドイツオペラでの「リエンツィ」(いずれもDVDでも観られる)で彼女の歌と演技に接してから、ずっと気になっていたメゾ・ソプラノである。
 今夜も、この人がいちばん演技も細かく、ニュアンスの細かい歌唱を聴かせていたのではなかろうか。あまり大きな声ではない人だから、METの大空間で――しかもラドヴァノフスキーの大音声と応酬するには少し分が悪いが、引き締まった声と歌い方を生かして、ノルマとの二つの2重唱も巧くバランスを取っていた。

 そして、ドルイド教徒の長老オロヴェーソを歌うのは、懐かしやジェームズ・モリス。声にはもう全盛期の安定感はないが、その舞台姿を含めた「味」にはやはり独特の良さがあり、出演しているだけでMETの観客を安心させる、といった雰囲気の人なのである。
 他にローマの士官フラヴィオをエドゥアルド・ヴァルデス、ノルマの侍女クロティルデをシアン・デイヴィース。

 10時35分終演。昼間は異様に蒸し暑かったが、流石に夜はちょうどいい気候になった。

コメント

本日、二子玉川の東急109で「ノルマ」を観てきました。
日本にいて一ヶ月余りで気楽にライブビューが観れるのは嬉しいです。
私の印象も、凡そ、東条さんのコメントと同じで、メゾ・ソプラノが魅力的でした。これからどんな風に成長していくのが楽しみですね。
残りの九作品が楽しみです。

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