2019-05

9・4(水)サイトウ・キネン・フェスティバル松本
大野和士指揮サイトウ・キネン・オーケストラ

   キッセイ文化ホール(長野県松本文化会館) 7時
    
 モーツァルトの「交響曲第33番」に始まり、リゲティの「フルート、オーボエと管弦楽のための二重協奏曲」(日本初演)、最後にR・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」というプログラム。

 大野和士がこのサイトウ・キネン・オーケストラに客演するのは、9年ぶり2度目のことになる。
 大野のキャリアも存在感も、あの頃とはすでに全く違う。またサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)の性格も、当時の「小澤征爾のオーケストラ」と言った雰囲気のものから、大きく変わっている。今や大野はこの猛者ぞろいのSKOを完全に制御しているし、オーケストラも、より柔軟に大野の指揮に反応しているように感じられる。

 モーツァルトの交響曲は、ふわりとした柔らかい音色で、陰影に富む。
 一方リゲティの協奏曲は、これも大野らしく豊麗な響きが印象的で、特に木管群が交錯して行く模様が温かいぬくもりを感じさせ、不思議な快感を呼ぶ演奏になった。ここでのソリストは、フルートのジャック・ズーン(彼、随分老け顔になった)と、オーボエのフィリップ・トーンドゥル(シュトゥットガルト放送響首席)。2人はアンコール・ピースとして、モーツァルトの「魔笛」から「パミーナのアリア」と「モノスタトスのアリア」を2重奏に編曲した小品を演奏したが、「合って」いるのかいないのか分らないほど寛いだ雰囲気の、しかし洒落た演奏が楽しい。

 「ツァラトゥストラはかく語りき」は、昨年ハーディングが指揮した「アルプス交響曲」と同様、大編成のR・シュトラウスものだが、今夜のこのような豊麗な音色は、このSKOからは、もしかしたらこの20年来、初めて聴いたような気がする。
 特に後半の「舞踏の場面」の個所で、木管とハープと弦が醸し出した名状しがたい甘美な音色は、そのかみのデッカ盤(カラヤン=ウィーン・フィル)のそれを思い出させるほど。このワルツのところでは、今夜この曲でコンサートマスターをつとめた長原幸太のソロが、またなかなかよかった。弦楽器群全体も、いい音を出している。
 最強奏はこのオケらしく強力だが、その響きは昨年のハーディング指揮の時のような開放的なものではなく、どこか抑制の効いた陰翳の濃いものである。音色は濁らず、各楽器の絡みも明確に浮かび上がる。

 これらの演奏を聴くと、今や大野和士とサイトウ・キネン・オーケストラは、大変良いコンビのように感じられる・・・・。

 そういえば、管楽器の、特に1番奏者には、外国人が随分増えているのに驚く。当節、別に悪いことではない。だがその一方、この「齋藤秀雄を記念する管弦楽団」の管の首席にふさわしい日本人奏者は、もうあとはいないんですかねえ、と訝りたくもなる。

 もっとも、だからといって、一頃出たような、齋藤秀雄の門下生がほとんどいなくなったから、オーケストラやフェスティバルの名称を変えたらどうかというような意見には与したくない。名称は名称として、すでに世界的にも定着していることだし、今のそれでいいではないか、と思う。有馬頼寧・日本中央競馬会理事長と一緒に仕事をした人がもういないから「有馬記念」の名称を変えようとか、目黒競馬場の存在を知る人がいなくなったから「目黒記念」を止めよう、なんて言う人はいないでしょう。

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