2008-07

3・17(土)ドレスデン・リヒャルト・シュトラウス・ターゲ
 楽劇「サロメ」

ザクセン・ドレスデン州立歌劇場

 主役の変更も、時にはありがたい場合もある。サロメがエヴァ・ヨハンソンに変わっていた。馬力のある人だから、安心して聴ける。
 ヘロデのヴォルフガンク・シュミットも、ヨハナーンのアラン・タイトゥスも力強い。2 Rang 1-24 の席にさえ、オーケストラを強烈に突き抜けて声が響いて来た。

 ただヴォルフガンク・レンネルトという指揮者は、オケを鳴らしすぎる傾向があるだろう。鳴らすのはいいとしても、一本調子で変化がないのが問題だ。冷たい音色も耳を疲れさせる一因である(平土間で聴いていた知人たちも、バランスはよかったと言う人、やはり鳴りすぎだと言う人、さまざまだ。聴き手の感覚の問題もあるだろう)。

 演出・装置はペーター・ムスバッハ。アレクサンダー・コッペルマンの照明ともども、非常にモダンで冷徹である。前方下へ向けて極度に傾斜した舞台(歌手も大変だったろう)の中央に冷たい光(つまり蛍光灯色)に輝く建物のようなものが在る。舞台には枠のようなものがあり、上手の一角にプールサイドの手摺りのようなものがある。

 白いつなぎを着たヨハナーンが、最初からその手摺りに掴まったまま、足を手前に下げて腰掛けている。あたかもプールサイドに腰掛けたまま「救世主が来るであらうぞ」と、物々しく繰り返しているようなものだ。したがって彼は古井戸の中にいるのではなく、常に「地上」に居て、時にはあちこち歩き回る。
 サロメは、ややはすっぱなドレス姿。彼女とヨハナーンだけが白い服で、その他ヘロデ側の連中は黒の衣服だ。ナラポートは自殺するのではなく、サロメを殺そう(もしくは脅かそう)と手にしていたナイフが、ヨハナーンに偶然ぶつかられたはずみに胸に刺さってしまうという具合である。読み替えだが、この方がずっと筋が通るだろう。
 
 「7つのヴェールの踊り」は字義どおりではなく、ヘロデがサロメを犯す場面として扱われる。サロメとヘロデとヨハナーンとヘロディアス(ダグマール・ペッコーヴァ)の4人の相関関係が複雑に絡む。
 ヨハナーンは結局地上で殺され、その死体にかけた白い布の中へサロメも潜り込む。ヘロデは「その女を殺せ」と叫びつつ、自ら斧を手にして駆け寄るが、サロメの恐ろしい形相にたじろぎ、後退りするところで暗転。

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