2020-04

6・25(火)シャルル・デュトワ指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

   文京シビックホール  7時

 今回のデュトワ&ロイヤル・フィルの来日公演のプログラムの中では、今日のこれが最も多彩で、重量感があるものだろう。シベリウスの「カレリア」組曲に始まり、ドビュッシーの「海」、バルトークの「中国の不思議な役人」組曲、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」第2組曲、と続く。バルトークを入れたのは、文京シビックホール側の要望だったというが、この選曲は大成功である。

 このホール、私はこれが初の訪問(!)になる。1階席18列中央あたりで聴くと、オーケストラの音はグァングァン響きながら押し寄せて来て、細部はほとんど判らないほどだが、量感は充分だ。
 それゆえ、このコンビの華麗なサウンドを存分に堪能することはできた。デュトワが気心知れた欧米のオーケストラを指揮する時に特有の、あの色彩的で絢爛とした絵巻物のような世界を、久しぶりにたっぷりと聴いた気がする。

 こういう指揮を聴くと、デュトワは本当に自分の「音色」を変わらず貫き通して来た名匠なのだな、とつくづく感心させられる。
 一方、ロイヤル・フィルにしても、これまで随分いろいろな指揮者のもとで聴いて来て、時には情けないオーケストラになってしまったな、と落胆したこともあった。が、今回このデュトワの指揮で聴いて、やっぱりいいオケだ、と再認識した次第だ。
 デュトワはいま、このオケの芸術監督兼首席指揮者である。

 「カレリア」は、第2曲「バラード」冒頭の木管の個所で一部の楽器が完全に落ちてしまい、何が何だか判らぬ音楽になってしまったが――それを除けば、躍動的な壮麗さで楽しめた演奏だ。
 「海」は、その羽毛のように柔らかく均衡豊かな響きと色彩感で、今夜の演奏の中でも、最も優れた出来だったと言ってよかろう。これこそ、デュトワの真骨頂である。

 一転して「中国の不思議な役人」ではロイヤル・フィルから凶暴なサウンドを引き出し、さらに転じて「ダフニスとクロエ」で豊麗な響きに戻り、「ドビュッシー――ラヴェル」という系譜を確立させて結ぶ。この4作品によるプログラムの起承転結の流れは極めて見事で、納得のゆくものであった。

 更にアンコールとして、ベルリオーズの「ラコッツィ行進曲」が、これも華やかに演奏された。デュトワは、最後の音を漸弱で結んだ身振りのままコンサートマスターに握手の手を差し出したが、それはまるでこのオーケストラとの協同作業を心から楽しんでいるような姿に見えた。

コメント

はじめまして。
パンフにあった貴殿のデュトワのインタビュー記事(90年代)、よく覚えております。
インタビューの現場の状況を伝える記事が当時珍しかったので、デュトワの人柄を伝える文章として、とても興味深く読ませていただきました。

>デュトワは、最後の音を漸弱で結んだ身振りのままコンサートマスターに握手の手を差し出したが、それはまるでこのオーケストラとの協同作業を心から楽しんでいるような姿に見えた。

おっしゃるとおりですが、「せっかち」なのも彼の癖。かっこいいです。サントリーホールでもラコッツィで同じことをされていました。

これからもディトワの人柄が伝わるインタビューをお願いします。

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