2020-04

6・19(水)河村尚子&クレメンス・ハーゲン

   トッパンホール  7時

 人気ピアニスト河村尚子が、ゲスト・ソリストとのデュオを繰り広げるシリーズの第3回。
 今夜の協演者はハーゲン弦楽四重奏団のチェリスト、クレメンス・ハーゲン。前回(昨年12月)のドイツの某ソプラノさんとは格が違う演奏家なので、聴き応えのあるデュオとなった。

 まずウェーベルンの最初期の作品――前期ロマン派的作風(!)の「チェロとピアノのための2つの小品」に始まり、シューマンの「アダージョとアレグロ 作品70」にベートーヴェンの「チェロ・ソナタ第5番」が続く第1部のプログラムでは、河村はゲストを立ててか、やや控えめな表情に終始していた。
 実際、クレメンスの恰幅のいい堂々たる音色はホール内を圧して響く。あの弦楽四重奏団のくせで(ヴェロニカを除く)、時々大雑把な演奏になることもあるのだが、独りで弾く時にはそれもまた感興の一種で、ある種の熱気となって感じられるだろう。

 だが第2部でのラフマニノフの「チェロ・ソナタ」になると、これは曲想によるところも大きいが、河村尚子がついに本性を現したという感じで、ピアノが俄然主導権を取り始めた。堂々たるデュオである。
 特に2曲目のアンコールで演奏されたベートーヴェンの「チェロ・ソナタ第1番」の第1楽章など、まさに「オブリガート・チェロを伴うピアノ・ソナタ」ともいうべき性格を浮き彫りにして、若き作曲者がヴィルヘルム2世に自らのピアノの腕を示そうと張り切っていた様子をうかがわせる、豪壮雄大な演奏となった。

 ゲストを立てると見せながら、最後はゲストを食ってしまうあたり、さすが大物の気魄充分の河村尚子である(映画「ベラクルス」でゲストの大物ゲイリー・クーパーを立てながら最後には食ってしまった曲者名優バート・ランカスターさながら、というところか)。
 主役の座を誇示して結んだ今回のリサイタル、御立派。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://concertdiary.blog118.fc2.com/tb.php/1676-c8acb82d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

























Since
September 13, 2007

これまでの来訪者数

最近の記事

お知らせ

●2007年7月以前のArchivesを順次、アップロード中です。併せてご覧下さい。
2007年7月
2007年6月
2007年5月
2007年4月
2007年3月
2006年7月

Category

ブログ内検索

プロフィール

リンク

News   

雑誌 モーストリー・クラシック に連載中
「東条碩夫の音楽巡礼記」