2020-04

6・16(日)フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮読売日本交響楽団のベートーヴェン

   サントリーホール  6時

 ベルギー生れの名匠フィリップ・ヘレヴェッヘ(1947年生)が、先日のシャンゼリゼ管弦楽団を指揮しての演奏会に続き、今回は読売日響に客演。
 もちろん初客演だが、彼が日本のオーケストラを指揮するのもこれが初めてだとのこと。ちょっと意外である。今日はベートーヴェン・プロで、「コリオラン」序曲と、交響曲の「1番」と「7番」が演奏された。

 現代楽器のオーケストラにピリオド楽器奏法をバランスよく導入するのは、ヘレヴェッヘのお家芸ともいうべきもの。この日の演奏でもそれが実に美しい音色を以って自然な形で展開されていたのは、さすがであった。

 「コリオラン」の冒頭は、フルトヴェングラー(1943年録音)もかくやと思えるほどの強靭なティンパニの打撃とたっぷりした響きで開始されたが、これだけ堂々たる意志力を以って演奏されると、この作品は紛れもなくベートーヴェンの序曲の最高傑作であることが証明されるだろう。ただ、この演奏で、この緊迫感が最後まで保たれたとは言い難いが・・・・。

 そのあと、ヘレヴェッヘが1回の答礼と舞台袖への出入りだけで直ちに指揮に移った「第1番」は、この日の中で最も魅力的な演奏だったのではないか。第1楽章の序奏からして音楽の風格が大きく、しかも気品に富んで温かく、美しい。清楚でありながら豊麗――などという演奏は滅多にあるものではないが、ヘレヴェッヘと読響はその至難の業を実現させていた。

 休憩後の「第7交響曲」は、その序奏での弦の響きが、何と綺麗で見事だったことか。素晴しく優秀な録音で捉えられたピリオド楽器のオケを、英国系の大型スピーカーで再生した時には、こういう爽やかで透き通った柔らかい弦の音になる。
 読響の弦もこんないい音を出すようになったのだ、と一瞬有頂天になったのだが・・・・この奇蹟の如き音は、もしかしたら長くは続かないのではなかろうか、という危惧は残念ながら当ったようで、第1楽章も主部に入る頃には――まあ、「ふつうのいい音」に戻ってしまったようである。
 叙情的なアレグレットの第2楽章には情感がこもっていたが、第4楽章は、エネルギーの驀進というより、美しく快走する巨大な力、というイメージ。

 ――速いテンポで進められたこの「7番」の演奏の核は、結局、「快さ」にあった、というところか。
      ⇒モーストリー・クラシック9月号 公演Reviews

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