2017-10

6・11(火)チョン・キョンファ・ヴァイオリン・リサイタル

   サントリーホール  7時

 久しぶり、チョン・キョンファ。指の故障を克服して復活。満席のファンを沸かせた。

 演奏した曲は、モーツァルトの「ソナタ ト長調K.379」、プロコフィエフの「ソナタ第1番ヘ短調」、バッハの「シャコンヌ」、フランクの「ソナタ」。協演のピアニストはケヴィン・ケナー。
 アンコールとしてシューベルトの「ソナチネ第1番」から第2楽章と第3楽章。――客電が上がり、聴衆が帰り始めたあとにもう一つ、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」をやったということだが、それは聴いていない。

 チョン・キョンファ(鄭京和)といえば、羚羊のように精悍で敏捷で躍動的で、しかも燃え上がるように情熱的だった若い頃の演奏が今でも忘れられないが、さすがに60歳を超えた今では、それは望むべくもない。
 「シャコンヌ」のような、無伴奏の、しかも強固な構築性を要求される作品では、一抹の不安と危惧を抱かせるところも少なくはなかった。だがそれでも曲の後半における、頂点に向けてひた押しに押す集中力に富んだ演奏は、彼女ならではのものであったろう。

 他の曲における、特に叙情的な部分での伸びやかで豊麗な音色の演奏には、彼女の今の本領を聴いたような気がする。
 それは、必ずしも年齢に応じた精神的な深みとかいったものを感じさせる演奏ではないかもしれない。どこかその前の、たとえば表層的な美のみの段階で留まっているタイプの演奏かもしれない。――だが、プログラムに掲載されている柴田克彦氏のエッセイを読むと、彼女が指の故障で公開演奏を休止していた間に得た「精神的なもの」は、限りなく大きいものだったという。とすれば、このあとも彼女は更に一歩を進めるかもしれないのだ。それが出来た時、チョン・キョンファの演奏はもっと深みを増すだろう。
 客席には、弟のチョン・ミョンフンも聴きに来ていた。

 協演したピアニストのケヴィン・ケナーが、非常に良かった。つくる音楽に豊かな表情と力がある。室内楽などを手がけたら、きっと素晴らしいだろう。

コメント

ザ.シンフォニーホールが出来て初めて行ったのpが彼女のコンサートでした。
今回6/5日兵庫芸文で聞きましたが後半の2曲は前回と同じ曲目でしたがさすがに良かったと思います。
復活を喜びたい。伴奏者も前回の暴力的な不思議な演奏に比べて上手く寄り添っていて感心しました。

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