2020-04

6・6(木)新国立劇場 モーツァルト:「コジ・ファン・トゥッテ」

   新国立劇場オペラパレス  6時30分

 こちらはもちろん映像でなく、ナマの上演。
 2011年5月にプレミエされたダミアーノ・ミキエレットの、例のキャンプ場を舞台にした演出の再演である。

 夏のキャンプ場にCamping Alfonsoなるスナック(?)を経営するドン・アルフォンソ(マウリツィオ・ムラーロ)とそのウェイトレスたるデスピーナ(天羽明惠)のところへ、多分キャンピング・カーで乗りつけたのが2組のカップル――フィオルディリージ(ミア・パーション)とグリエルモ(ドミニク・ケーニンガー)、ドラベッラ(ジェニファー・ホロウェイ)とフェルランド(パオロ・ファナーレ)で、ストーリーそのものは大筋においてオリジナル通りに展開する。ただしラストシーンだけは、今日お定まりの「大破局」になる、という寸法である。

 演技も非常に細緻精妙だし、回転舞台を駆使して場面転換を図る手法も巧く出来ているし、コカ・コーラの缶やサッカーを中継するテレビなどの小道具も念入りに作られている。美術・衣装(パオロ・ファンティン)と照明(アレッサンドロ・カルレッティ)を含め、まずはそれなりによくまとまっているプロダクション、と言っていい。
 残念ながら歌手陣にはかなりのムラがあるが、当初の予定から変更になった歌手もいるようなので、これは致し方なかろう。

 今回の指揮はイヴ・アベル。この人、実は私はこれまであまり聴いたことがなかったが、テンポも盛り上げ方も悪くない。少なくともプレミエの時に振ったダラダラしたテンポの某指揮者とは格段の差がある。

 ただし、東京フィルの演奏は、プレミエ時同様、相変わらず冴えない。序曲など、あまりの貧弱な音に情けなくなり、これは今回もダメかと思ったほどだ。第1幕途中あたりから少し持ち直したが、しかしモーツァルトがこの作品のオーケストラ・パートに織り込んだ恐るべき官能的な感覚、微細な感情の変化の描写、天国的な和音の美しさなど、円熟期の手法を正確に再現するには、こんな程度の演奏ではとても役目を果たすことができない。このオケは、そもそもオペラを本当に愛していないんじゃないか?とまで思ってしまう。

 休憩時間に、傍を歩いていた若いカップルのうちの女性が、「筋は知っていたけど、観るとオモシローイ」と楽しそうな顔をしていた。若い人をオペラに惹きつけるには、こういう現代的な舞台の方が効果的なのではないかと、私も思う。
 また、うしろから歩いて来たおばちゃんたちは、「あの○○って人、歌はヘタねえ」「□□も上手くないわね」「アルフォンソはよかったんじゃない?」「うん、アルフォンソはね」と、言いたい放題、批評していた。当節のオバチャンたちは手ごわいから、だいじにしなくてはいけない。

 9時50分終演。

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