2020-04

3・25(月)下野竜也指揮新日本フィルハーモニー交響楽団

   サントリーホール  7時15分

 プログラムは、バッハ~レーガー編「おお人よ、汝の罪の大いなるを嘆け」(BWV622)、R・シュトラウスの「オーボエ協奏曲」、ベートーヴェンの「第7交響曲」。

 14型の弦合奏で演奏されたバッハのコラールは、厚みのある壮麗な響きで、しかも爽やかだ。下野が振るとオーケストラの音の重心が低くなる――と、この日客席で聴いていた新日本フィルのある楽員が感想を洩らしていたが、たしかにこの響きの安定感は見事なもので、魅了される。

 「オーボエ協奏曲」でも、オケの音色の解放的な爽やかさがいい。
 今回のゲスト・ソリストは、若い美人奏者セリーヌ・モワネで、彼女もまたまっすぐに率直に、何の衒いもない伸び伸びとした演奏を聴かせ、一陣の爽風が吹き抜けて行くような快さを作り出してくれた。カーテンコールで走って出て来る可憐な明るい仕種も、この演奏と何か共通したような雰囲気を感じさせる。もっとも、協奏曲の演奏としては、良くも悪くも端整に過ぎるところがあるが。

 後半の「7番」は、下野の猛烈な気迫が爆発したような指揮で、新日本フィルも快速テンポで沸騰した。
 天馬空を行くといった感の快調なスケルツォの演奏をはじめ、第1楽章の明るいエネルギーがそのまま反転したような意味合いを持たせる第2楽章(二つの楽章は間をおかずに演奏されたが、パーヴォ・ヤルヴィのように同じテンポでイ長調からイ短調に突入するというスタイルではない)も、あるいは弾丸ライナーのごとき第4楽章も、すべて音楽の流れが非常に良いのに感心する。単に勢いがいいだけでなく、随所に効果的なアクセントやクレッシェンドが施され、音楽が常に波の動きのように起伏を繰り返しつつ奔流のように押して行く、といった感なのである。下野のこの設計は実に巧い。

 ただし、この曲でも弦14型を採った新日本フィルの演奏は、中間2楽章では流れの良さを感じさせたものの、急ぎに急ぐ両端楽章では勢いが優先して、細部は少し粗く、しかも音が上滑りになって薄くなったきらいも無くはない。速いテンポの際にも、もう少し隙の無い構築性が欲しいところではあった。
   音楽の友5月号 演奏会評

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