2020-04

3・1(金)ミュージカル「ノートルダム・ド・パリ」

    東急シアターオーブ  2時

 ヴィクトル・ユーゴーの有名な小説――日本ではかつて差別用語を含んだ別の題名で知られていた物語。原題名がNOTRE DAME DE PARISなのに、だれがあんなどぎつい邦訳をつけたのだろう? 

 このミュージカルは、作詞がリュック・プラモンドン、作曲がリシャール・コッシアンテ。1998年にパリで初演された「フランスのミュージカル」だが、今回はウィル・ジェニングスによる英訳版が使用されている。
 ストーリー構成は、ほぼ原作の流れを忠実に追っている。美貌ゆえに悲劇的な宿命の道を辿るロマの娘エスメラルダ(アレッサンドラ・フェラーリ)に、彼女に純な想いを寄せるノートルダムの鐘つき男カジモド(マット・ローラン)、彼女に邪恋を抱く司教フロロ(ロバート・マリアン)や近衛隊長フェビュス(イヴァン・ペドノー)らが絡む。

 主人公カジモドを歌い演じるローランの存在感は、さすがにすばらしい。ひとりで舞台全体を支配してしまう迫力だ。なんでもこの役をすでに600回以上も演じていて、またロックバンド「ラ・カシーヌ」のメインヴォーカリストでもあるとか、凄いキャリアの持主である由。純粋で優しい心を持ちながらも異形の身体であるが故に虐げられるカジモドを見事に演じて余す所なく、観客の同情を一身に集めてしまう存在である。

 セリフはなく、全篇がナンバー(第1幕28曲、第2幕23曲)の連続で構成されているが、特に第2幕にはカジモドの絶唱「神よ、この世のすべてが間違いだ」「ダンス、エスメラルダ」、エスメラルダの「生きる、あなたのために」など、いい歌も多い。
 また舞台では、装置や演技が一種の象徴的なスタイルで進められて行くが、第2幕第2曲で鐘が人の身体と組み合わされて(イメージとして)鳴らされる場面など、こういう幻想的な舞台がオペラの演出にもあったらな、と、思わずうっとりしてしまった。この手の演出をオペラに取り入れるなら、いわゆるオペラ演出家よりもバレエの振付家あたりが自分のフィールドに舞台を引き込んで思い切った手法を試みるしかないのではないか、という気もする。

 その振付を担当したのはマルティーノ・ミューラ。ダンスのスピーディなこと、アクロバットの素晴らしさなどには舌を巻く。
 休憩20分を含み上演時間は2時間半。愉しめた。シアターオーブでは17日まで公演が行なわれ、そのあとは大阪、名古屋でも公演がある。

コメント

ノートルダム・ド・パリ(2013年3月16日[土])

作品としてはミュージカルというより、アクロバティックなシルク・ダンスに歌とストーリーが付随しているという印象。サーカスのようなはらはらする振付のダンスは一時も目が離せないくらいの迫力と面白さがあった。歌詞に気を取られると、それらを見逃してしまう。しかし、簡単な歌詞(そして、繰り返し)でストーリーを理解させるという作詞・作曲チームの力量のため字幕に頼る外国での上演でもダンスを見逃すことがなかった。世界各国で上演されていて人気があるミュージカルであるということが納得できる。
東条さん指摘の鐘の演出に加えて、フェビュスが襲われる場面でのシルエットによる象徴的な表現、カジモドがフロロを鐘楼から突き落とす場面で階段を転がる姿をつなげて見せる手法…など演出はなかなか面白い。

フランス・ミュージカルながら、上演は英語。カーテンコールではグランゴワール役のリシャール・シャーレが作品の中の1曲をアカペラのフランス語で歌い、それに合わせて他の歌手もフランス語で歌っていた。「私たちはフランス語も出来ます」という雰囲気で面白かった。

一方で、残念なのはこの劇場の基本路線である「カラオケによるミュージカル上演」である。地方都市ならいざ知らず、世界で何番目かの大都市東京での公演がテープ演奏とは…。
歌手はそれぞれ歌がうまいが、生演奏でないミュージカルの感動のレベルはなかなか上がらない。カラオケなら歌も口パクでも別にたいして変わらないのではないか…と思って観始めた。(毎日の公演なので、また、2回公演する日もあるので調子の悪い時は口パクで補うということなのか)この日の公演で一部の歌手は全て、あるいは一部で口パクだったように聴こえた(間違っていたら失礼になるが…)。作品内で時々合唱が入るが、この合唱はカラオケの中にもともと組み込まれていた。
シアターオーブで以前観たフランス・ミュージカル「ロミオとジュリエット」もカラオケだったので感動レベルは高くならなかった。
チラシにはテープ演奏と書いていなかったので「ノートルダム」のチケットを購入した時点では生演奏だとばかり思っていた。「ノートルダム」のチケットを購入した後で「ロミオとジュリエット」を観て、もしかして「ノートルダム」もカラオケなのか…と気づいて主催者に問い合わせたところ、やはりテープ演奏とのこと。だったら最低限、チラシに「テープ演奏」と書くべきではないか。正しく購入選択できるように…。

さらに、運営面で残念なのは会場での大声の案内である。シアターオーブは「大人のための劇場」ということで期待したが、入口はこちら、エレベーターは足元に気を付けて…といちいちうるさい(聞かれたら答えるというのがサービスのあるべき姿ではないか)。会場内のカフェカウンターの案内も大声。クラシック公演の会場の静かさに慣れている者には全般にうるさ過ぎる運営。何をそんなに叫ぶ必要があるのだろうか。

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