2017-08

1・15(火)METライブビューイング ヴェルディ「仮面舞踏会」

   東劇  2時

 昨年12月8日上演のライヴ。

 これはデイヴィッド・アルデンによる新演出。物語はソンマ(台本)とヴェルディの当初の案どおり、(ボストン総督リチャードでなく)スウェーデン国王グスタヴ3世暗殺事件としているが、演出上の場面の設定は20世紀前半になっている。第2幕までは比較的ストレートな演出だが、第3幕の仮面舞踏会におけるダンスを交えた人物の動かし方が面白い。

 だがその演出よりも傑作なのは、ポール・スタインバーグ(MET初登場)のモダンな舞台装置だ。第3幕では照明(アダム・シルヴァーマン、同)を巧みに使い、不思議な拡がりと奥行を感じさせる光景を創り出している。

 今やMETの首席指揮者となっているファビオ・ルイジの指揮は、相変わらずのっぺりした、鮮烈さの全くない音楽づくりだが、もって行き方はそれなりに上手いので、総合的には無難な指揮という結論になるか。
 配役は、グスタヴ国王はマルセロ・アルヴァレス、アメーリアはソンドラ・ラドヴァノフスキー、アンカーストレーム伯爵(レナート)はディミトリ・フヴォロストフスキー、ウルリカ・アルヴィドソン夫人はステファニー・ブライズ、小姓オスカルはキャスリーン・キム、他。いずれも手堅く、特にフヴォロストフスキーの堂々たる貫禄が印象的だ。

 韓国出身のソプラノ、キャスリーン・キムは、素顔は可愛い人なのだが、今回のメイクは何だかちょっと気持が悪い。それに歌唱も、無難にこなしているはいるものの、以前の「ホフマン物語」のオランピア役での華麗さや、「中国のニクソン」の江青夫人での凄味ある高音域の絶唱に比べ、今回は表情も含めて格段に冴えないのが惜しい。

 しかしこの「仮面舞踏会」、いい曲だ。昔、有楽町のハンターという中古レコード店で、トスカニーニの指揮した輸入LPを格安で入手して聴き、夢中になったものであった。レナートのアリア、彼と暗殺者たちとの3重唱、全曲大詰で合唱が壮大にクレッシェンドして行くところなど、今聴いても胸が躍る。

 終映は5時半。昼間の上映だと、お客さんも結構入っている。

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